#雑感

野良猫に恋するということ…それはまるで推し活と倫理の混濁

2022年9月20日 

近所の空き家の解体作業が始まった翌日の朝、母に起こされて庭を見てみるといつもの野良猫がこちらを見て「にゃーん」と鳴きました。いつもご飯が欲しいと鳴き散らしにくるのが夕方から夜頃なので「なんでこんな朝っぱらから…」と低血圧な私は塩対応してしまいました。

食事狙いの時は割と粘って日光東照宮の眠り猫の如く静かにその時を待っているのですが、この日はちょっと目を離したすきに居なくなってしまったので猫特有の気まぐれくらいにしか思わず特に気に留めることもなく。しかしそれからぱたりと庭に寄り付くことがなくなりました。木や草で鬱蒼としていた空き家がたったの数日できれいに更地になってしまったので環境の変化に驚いて警戒していたのか、そこを主たる生活圏か隠れ家としていたために他の安全地帯を探す旅に出たのかはわかりませんでした。

それから1週間程度した頃。夕方に野良猫が現れました。いつもならうるさいくらいに鳴くのに「にゃあ」「うーん」と力ない様子。警戒心もすっかり戻ってしまい、落ち着いてご飯も食べられません。この数日でどんな目に遭ったんだ…と少しショックを受けてしまった私とは真逆に母は「生きていて良かった」と喜んでおりました。

野良猫,三毛猫
野良猫,三毛猫
あざといちんまり顔にきゅんです

数ヶ月後、私は10軒ほど先の家でひょっこり現れた彼女と偶然出くわしました。声をかけて目をゆっくり瞑ると「にゃん」と小さく挨拶してくれました。ちょっとした物音や走行音に敏感で、かなり警戒している様子。私は家に帰る途中だったので一緒についてくるように促しましたが、また別の家にある立派な木の下で休むのがルーティンのようで頑なに移動しません。「あとでおいで」と言い残し、仕方がないので家に帰りました。あれが野良猫の生活の実態というものか…と想像以上の過酷さに自身の力不足というかやるせなさを感じていたところ、庭から「にゃあ」という鳴き声が聞こえたので慌ててカーテンを開けると縁側に野良猫がきておりました。「約束守ってくれたんだね!!」と興奮を抑えきれずつい餌やり。

この行為が彼女にとって良いのか悪いのかは今もわかりませんが、飢餓や栄養失調で死んでほしくもない。できれば慣れさせて獣医さんに診てもらいたいところでもありますが、生粋の野良であるためそう簡単に人間に手出しはさせてくれません。今までも餌やり中に人間に触られたり捕まえられたりを試みられたのか、食事中に少しでも手を動かすと逃げられます。

むしろ野良猫的生活に慣れてしまっているため、家猫として飼うことはもはや無理だと思います。私は猫を飼育した経験はありませんが、ここ数ヶ月のしばしの交流を経て「この猫は飼われることを好まない」と感じています。

しかし地域全体のことを考えれば、野良猫がうろちょろしていることを快く思わない方がいても当然ですし、犬を飼っているとか猫アレルギーであるとか嫌な思い出があるとか理由はとにかくひとそれぞれに「猫はだめ」というひとがいて当たり前だとも思います。今は(特にコロナ禍の影響もあって)かなりの猫ブームですが、全員が「猫ちゃん大好き」であるはずという同調圧力みたいなものも感じるので、逆に嫌い&苦手&猫アレルギー派のひとの意見も尊重されるべきだと感じます。たまに我が家の庭で排泄しているのも見かけるので=どこかでもしているということ。野良は人間からの餌にありつけなければ自力で何かを捕らえて食べていかなければなりませんし、水は基本的に水道水よりも雨水を好んで飲みます。そのため出すものもそんな立派なものではないでしょうが、餌を与えてしまった者の責任みたいなものはやはり感じています。

それでもどんなに愛おしい猫だと思っても、彼女にはおそらく母猫から教えられたであろう彼女のテリトリーと譲れない日課があって、人間に干渉されることをとても嫌悪します。

台風の前後はやはり心配でした。これから降るぞという頃に私が庭で吹っ飛びそうなものを片付けたり気になる枝などを見て回っていると、どこからともなく「にゃーん」と猫の鳴き声が聞こえリアルにきょろきょろしてしまいました。彼女は私の後ろの塀の付近に座っていてこちらの様子を伺っています。多分目も合わせていないのに私という人間の姿を確認した猫側から呼ばれたのははじめてでした。

なかなかの暴風でしたが台風一過??後にはまた愛くるしい姿を見せにやってくるようになりました。もちろん仔猫ではないのと周囲に他の野良猫がいないこともあってかふてぶてしい女帝感も醸し出すようになりましたが、基本的に攻撃的ではなく穏健派なので人間や車両などの音に敏感で可能な限り避けるのが彼女の処世術。

そんな彼女に対して「居つかれたら困るけれど」と複雑な心中を見せる家族と「本格的に寒くなったら心配だ」と言う私。それでもやはりたった1日でも姿を見せないと心配で寂しくて落ち着かない。その日の夜はついネットで野良猫の生態を検索してしまったり、過去に撮影した写真や動画を見返してしまったり、遠くで猫の鳴き声がしたような気がすると反応してついカーテンを開けてしまったり。相手はメスの野良猫なのに「思春期かよ!!」とツッコミたくなるような「乙女」になってしまう。彼女にとって餌がなければ我が家は用なし。どんなにどんなに与えたところで彼女は絶対に自ら頭を擦り付けてくることもなければ触らせてもくれません。会えるわけでも話せるわけでも触れるわけでもない超人気者の推しに「いつか自分の存在を認識してもらえるかも」と針の穴ほどの可能性を信じて貢ぎまくっている姿も同然(皮肉とかではなく私も若かりし頃はヲタ活にぷち奔走していた≒推し活していたので気持ちはわかります)

ただいちばんの問題はやはりきちんとした地域猫として去勢などの対処を行わずに一部の人間との共存を許してしまっている現状。とても警戒心が高いところをようやく自ら餌をねだって縁側でおとなしく待つようになるまで信頼??をげっとしたので無理に捕まえるには早計過ぎる気もしますし(専用の捕獲機があるのは知っていますが)そもそも近隣の同意も得ないといけませんし相当な出費があることも強行に踏み切れない要因ではあります。

結局は人間のエゴのなかで産まれ自らの力で孤高な暮らしを確立してきた彼女の生活を更に人間のエゴでどうにかして良いものだろうかという難しい問いに直面しています。じゃあ彼女が出産して更に野良猫が増えたら人間はどう責任を取るのか。

情けない話ですが正直今の私にはわかりません。

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