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映画『シン・ウルトラマン』―最新にして前日譚のような物語@船堀シネパル

2022年10月20日 

先日やっっっと劇場で観てまいりました映画『シン・ウルトラマン』!!なんと公開日は2022年5月13日。なぜもっと早く観に行かなかったのか非常に悔やまれる程に好きな作品でした。

* * *

あらすじ

次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】があらわれ、その存在が日常となった日本。
通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室専従班】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。
班長・田村君男(西島秀俊)
作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)
非粒子物理学者・滝明久(有岡大貴)
汎用生物学者・船縁由美(早見あかり)
が選ばれ、任務に当たっていた。
禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。
禍特対には、巨人対策のために
分析官・浅見弘子(長澤まさみ)
が新たに配属され、神永とバディを組むことに。
浅見による報告書に書かれていたのは・・・【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。

―公式サイトより

漏れ出るエヴァ味はもはや魅力

監督はTVアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)より前のTVアニメ『ふしぎの海のナディア』(1990)でも監督をしていた樋口真嗣監督。映画『シン・ゴジラ』(2016)でも監督でした(総監督は庵野秀明氏)。ちょっとWikiで調べていたら、エレファントカシマシの『ズレてる方がいい』(2012)のMVも犬童一心監督と共同で制作していたと知って驚き。庵野監督(本作では企画・脚本とモーションアクターなども担当)の独特な台詞回しと浅見弘子役の長澤まさみさんとの相性は抜群で、最初はどうしても「葛城ミサト」や「赤木リツコ」が話しているような感覚で耳に入ってきてしまっていたのですが、彼女のキュートな部分もきちんと表現されていて最高のヒロインでした。

メフィラス(演:山本耕史)に利用されてガチギレしている際にメフィラス自身が彼女に関する全ての情報を削除した際のガッツポーズが無邪気でかわいかったです。メフィラスに人類への「パフォーマンス」として利用されたのが事の発端なのに。

巨大化してあられもない姿を全世界に発信されたり、ウルトラマンに変身する前の神永新二(演:斎藤工)に首筋から股間にかけての匂いをかがれたりとなかなかセクシャルハラスメントな目に遭っている浅見分析官でしたが、長澤まさみちゃんの魅力でなぜか違和感も吹っ飛びました。配役って大事なんだなぁと当ブログでも何回か書いてしまっている気がしますが、今回も改めて痛感いたしました。

こどもたちが遊ぶのどかな公園や小粋な居酒屋にて、ウルトラマンとメフィラスが地球の最上位生命体として生存する人類の処遇について平和的に話し合っているように見えますが、考え方に喰い違いが出て同じ外星人でありながら決裂する緊迫感のあるシーンは印象深かったです。エヴァ(特に旧)でもブランコやお酒のシーンなんてのは頻繁に出てきた気がするのですが何かの暗喩というか日常の象徴でもある気がするので、そうした空間の中に外星人だったり汎用人型決戦兵器だったりという非日常を放り込むことで敢えて調和を乱そうとしているのだろうか…などとつい表現に浸ってしまいます。

旧劇の人類補完計画中にはシンジの精神世界にひたすら揺れ続けるブランコのシーンがありました。

居酒屋での「割り勘でいいか、ウルトラマン」もメフィラスとウルトラマンが渋い居酒屋でお酒を飲んで割り勘という違和感。ミサトと加地が人類補完計画について話している場所も居酒屋の個室でした。もうエヴァは終わったんだから切り離しなさいと言われても、どうしてもチラついてしまうのはもはや仕方ないです。

既にパチンコ機ではキングギドラが使徒の王

シンゴジラとの繋がりか当時「内閣総理大臣補佐官(臨時内閣時は内閣官房長官臨時代理)」だった赤坂秀樹(演:竹野内豊)を匂わせる男が日本政府側としてシンウルトラマンにも登場。メフィラスとの交渉時にも暗躍していました。時系列や世界線等について触れられることもなく、今回の竹野内豊が=シンゴジの赤坂という明言はないのでファンサの可能性しかないですが、これだと映画『シン・仮面ライダー』(2023年3月公開予定)でも過去作品からの再登場がありそうで期待が膨らんでしまいます。

主役を喰らう勢いの愛すべき敵たち

敵がいないと活躍できないのがウルトラマンの哀しき運命。今回も魅力と愛嬌たっぷりの敵たちが人類の味方になったウルトラマンに容赦なく迫りまくります。

お詫び)在庫切れでパンフレットが買えなかったので初期設定と記憶と自己流解釈で書いています

1)ザラブ星人(にせウルトラマン)

にせウルトラマンに変身して破壊の限りを尽くしウルトラマンを人類の敵だと思わせようとした悪い奴。最終的には国家同士の争いによって人類滅亡を目論むやっぱり悪い奴。低音ボイスはばちくそかっこいい(声:津田健次郎)。目的はウルトラマンの存在を利用した効率の良い原住知的生物の殲滅。とにかく声はかっこいいのに何かと作戦が回りくどい。

2)メフィラス星人

特命全権大使外星人第0号。郷に入っては郷に従うということで普段は人間の姿(演:山本耕史)をしているが怒って巨大化すると細長い怪人になる。ウルトラマンとの戦闘シーンはシンエヴァで碇シンジと碇ゲンドウが搭乗する初号機のそれとよく似ている。口癖は「私の○○な言葉です(メフィラス構文)」。ベーターカプセルを利用して人類を支配下に置こうと企みウルトラマンにも協力を促すが全力で阻止されたために交渉は決裂。もはや主人公を差し置くレベルで存在感と人気がある。

メフィラスは女装も得意で声も氷上恭子さんみたいに変えられる(←さんかくはぁと)。

3)ゾーフィ&ゼットン

ゾフィーではなく"ゾーフィ"。光の星の掟に忠実すぎて「天体制圧用最終兵器ゼットン」を使用して地球もろとも太陽系ごと吹っ飛ばそうとするいちばんウルトラマンに理解がありそうなのにいちばんこわい外星人。ゼットンとの熾烈な戦いにより並行宇宙に飛ばされてしまったウルトラマンを見つけ出し光の星に送還しようとするが「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」とウルトラマンの変化に興味を示して彼の説得を受け入れた。真の正体は山ちゃん(声:山寺宏一)。

強気に出ていたメフィラスがウルトラマンとの戦闘中にゾーフィの姿を見てあっさり手を引きましたから「ウルトラの父よりすごいのかな」と適当な感想を抱きながら観ていたところ。まさか唯一ウルトラマンを倒したあのゼットンを動かすことのできる超ラスボス的扱いだったとは意外な展開。私はウルトラマンティガ世代なのですが、ウルトラマンと一括りにしても設定や時系列なんかが作品によってバラバラだったりしますからそこはあまり気にしません。

"ウルトラマン"といったらV6長野くん世代

知っている+覚えているひとが世代的に少ないようで寂しいのですが『ウルトラマンキッズ』も好きでよく観ていました。山野さと子さんの「ウルトラマーン♪キッズ♪」という主題歌が可愛くて好きなナンバーでした。

何気に"メフィラ"というメフィラスのデフォルメもいます

映画全体の感想としては「ウルトラマン:エピソード0」といった感じ。ウルトラマンにカラータイマーがなかったり(ウルトラマンのデザインを担当した成田亨氏の初期案にカラータイマーは存在しない)、光の星の外星人であるウルトラマン自身が巨大化する際に、その衝撃波からこどもを守って命を落としたのが本来の神永新二(←この点はハヤタ隊員とほぼ同様)なのですが、彼と一体になり他の人間と接触する(いちばん影響力があったのは浅見とのバディ)ことで人類に対して興味を示していく様子が描かれております。ゾーフィも光の星の掟を破ったウルトラマンに対して強めに諭していましたが、このことについては一定の理解を示している模様(←TVシリーズ『ウルトラマン』(1966)でウルトラマンとハヤタ隊員を分離させたのは"ゾフィー")。このあたりの設定はファンでも正確に隅々まで理解するのは難解のようです。

ありがとう船堀シネパル

夏の終わりに都内で唯一劇場公開していたのが江戸川区船堀の都営新宿線「船堀」駅前にある「タワーホール船堀」内小劇場「船堀シネパル」のシネパル1でした。

映画館はシネコンや都心部のミニシアターとは違い、びっくりするくらい小劇場。かしこまった空間でもないので居心地は良いです。売店は遅くまで営業していないので何か欲しいものがあればラストの上映開始前には行った方がいいのかも。近くに空気清浄機がある席を選んでしまったので静寂の時は「ガガガガ」と機械音が聞こえてきましたが没入感はありました。

船堀シネパル

上映中作品の貴重な資料なども展示してくれているのでただ映画を観て終わりにならない空間でした。私の住んでいる地域からは少々アクセスが悪いので頻繁に足を運ぶことは正直なさそうですが、個人的に隠れスポット的なおすすめミニシアターです。

また、最上階には無料の展望室があり、天気の良い日は東京スカイツリーや東京湾側のランドマーク(東京ゲートブリッジ、葛西臨海公園、東京ディズニーリゾート)などの夜景が見ることができます。展望室は狭いですが景観はかなり開放的で「展望塔は高さ115m。103mの展望室」とのこと。

私が立ち寄った時は霧状の小雨が降っていたため上空全体がガスってしまい遠くの景色はあまりよく見えませんでした。残念。展望室自体には休憩所や飲食を提供してくれる施設はありません(自販機やお手洗いもないので行く前に済ませましょう)が、エレベーターで降りたところにめちゃくちゃいい感じの洋食屋さんを発見。会議室だけでなく宴会場もあり、1階では新型コロナワクチンの接種会場もありました。イメージとしては区役所にいろいろな施設をぶち込んだみたいな街の中心の憩いの場。江戸川区役所は小岩寄りです。

船堀タワー

シネコンでの上映が終わってしまっても探すと期間は短くとも小さい劇場で上映してくれていることが多いので、それをきっかけに普段はなかなか行く機会がない街や劇場を開拓するのもとても楽しく刺激&勉強になるのでおすすめです。

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