『龍が如く0』嶋野の狂犬・真島吾朗の覚醒までの物語と解説

2020年4月16日  2019年9月25日 

長文ネタバレあります

全世界シリーズ累計1,000万以上の出荷本数を記録している国内ゲームソフト『龍が如く』に欠かせないキャラクターといえば…ナンバリングの本編だけでなくサブストーリー等を含めれば相当数になるので各々によって思い入れは三者三様かもしれませんが、やはり伝説の主人公を差し置いて人気投票で度々首位を獲得してしまうあのクレイジーな兄さんは外せません。

主人公である伝説の龍・桐生一馬の兄貴分にあたる伝説の狂犬・真島吾朗。彼の生い立ちや家族などについて彼の口から語られる事は少なく、ややミステリアスな側面も強いです。狂気、シリアス、ギャグなどストーリー上ではある種オールラウンダーな彼ですが、根はシリーズにおいていちばんリアルな感性を持った人間なのかもしれません。

発売当初(2005年)にPS2版『龍が如く』をプレイした際には、まさかこの男が女性人気すら獲得する程のキャラクターに成長するとは思ってもみませんでした。ストーリー上ではかなり早い段階で登場するのですが、はっきり言ってお世辞にも男前のポジションではありません。全体的に暗くぼやけた当時のグラフィック性能の影響もありますが、変な髪形に血色の悪い怖い顔、海賊みたいな眼帯と痩せた素肌に蛇柄ジャケットといういかにもステレオタイプな変なチンピラが現れたなというのが第一印象でした。由美(桐生の幼馴染)をコマしたいなどと桐生を煽り、子分を傘で袋叩きにするような下品で粗暴な男を既に“堂島の龍”として有名な桐生ですら「兄さん」と呼び敬語で頭を下げているので、当時は「ああ、何かしょうもないけど組織内では偉い人なんだな」というくらいの感想でした。妙に陽気でハイテンションな関西弁というのも最初は面食らいました。

その後ハードが進化していつの間にかビジュアル面では細マッチョのイケメンおじさんになっていたのには驚愕しましたネ。当時は「変だ」「気持ち悪い」とすら思っていた要素もいつの間にか魅力に変わるのですから本当に不思議です。

こうして初登場時は一貫して何を考えているのかさっぱりわからない「読めない」戦闘狂の兄さんでしたが、その前史にあたる『龍が如く0 誓いの場所』で彼の印象は一転します。

『龍が如く0』では桐生一馬と真島吾朗の2人が主人公でプレイアブルキャラクターが頻繁に交代します。が、ここでは真島寄りの目線で彼が「嶋野の狂犬」として覚醒するまでの物語を振り返りたいと思います。

『龍が如く0』真島吾朗の物語

冴島大河との関係性

―1985年4月20日
東城会堂島組内嶋野組真島吾朗(CV:宇垣秀成)には、同じく東城会三次団体笹井組冴島大河(CV:小山力也)という兄弟分がいました。

後に上野吉春襲撃事件と呼ばれる「極道18人殺し」の計画前日、真島は堂島組経由で調達した拳銃が入った鞄を持って冴島と冴島の義理の妹である靖子(CV:小沢真珠)が住んでいる小さなアパートにやってきます。最初は他愛のない話から始まり、靖子にも大きなスイカを振舞います。

「春先でもこないに立派なの売ってるもんなんやねぇ」と敬愛する兄とその兄弟分が企てている計画も知らずに無邪気にスイカを叩く靖子に、真島はつい「しばらくの間こないなもん食えんようになるやろうし」と口を滑らせてしまいます。焦った冴島は靖子にビールでも買ってこいと半ば強引に追い出しますが、靖子は素直に従います。

彼女が離れた様子を確認した真島は冴島に、靖子に何も伝えていないのかと詰め寄ります。「言えるわけない」と突っぱねる冴島に「俺は天涯孤独の身」としながら、「逃げ出すなら今のうち」といつものへんてこな関西弁も忘れて靖子の事をよく考えるように諭しますが、冴島の決意は変わりません。

―翌日 1985年4月21日
決行当日。出所直後の上野誠和会総長上野吉春とその構成員らが向かう都内のラーメン屋付近で待機する冴島でしたが、待ち合わせているはずの真島が現れません。公衆電話から真島の行方について連絡するも上野とその組員が現場に到着してしまい、覚悟を決めた冴島は単独で襲撃に向かいます。

一方真島は、上野誠和会と内通していた後の東城会直系柴田組組長柴田和夫(CV:大塚芳忠)に襲撃計画を中止するよう呼び出されていました。しかし既に冴島が現場に向かっている事を知っている真島は「兄弟を裏切れっちゅうんか!?」と強く抗議します。柴田の制止を振り切って冴島の元へ向かおうとしたところ柴田組に監禁され、最終的にドスで左目を刺されてしまいます。

上述の真島と冴島のストーリーは『龍が如く4』で語られますが、『龍が如く0』においてもこの背景は真島の行動原理として重要な意味を持っています。

穴倉での拷問と佐川司による牢獄の日々

冴島は極道18人を射殺した死刑囚として刑務所へ。そして真島は親である嶋野組組長嶋野太(CV:楠見尚己)の命令を果たせなかった罰として“穴倉”と呼ばれる拷問部屋へと送られ極道を追放されてしまいます。穴倉は単なる拷問部屋ではなく嶋野に「ここにぶち込まれた奴はみんな“殺してくれ”って泣いて頼むわ」と言わしめる極道を追われた者たちの墓場。
真島は親である嶋野が部屋を立ち去る最後まで単身襲撃に向かったであろう冴島のその後だけを問い続けていましたが、嶋野がそれに答える事はありませんでした。

穴倉での惨たらしい拷問に1年耐え続けた真島は、再び極道に復帰する条件として嶋野の代紋違いの兄弟分である関西組織近江連合直参佐川組組長佐川司(CV:鶴見辰吾)の下でカタギとして大阪蒼天堀での奴隷生活を強いられます。真島は佐川がオーナーを務めるキャバレー「グランド」の支配人として多額のノルマを課せられる一方で、佐川の息がかかった人間に四六時中監視され続け蒼天堀から離れる事もできないという牢獄のような日々を送っていました。

蒼天掘,道頓堀
蒼天掘のモデルとなっている道頓堀

全ての事件の発端

―1988年12月9日
東京神室町ではとある一坪の土地の存在をきっかけに東城会内で問題がくすぶり始めます。

神室町再開発計画に伴い多額の投資を用いて一帯の地上げを進めてきた東城会直系堂島組でしたが、その中心地に一坪の私有地が存在する事が判明しました。通称「カラの一坪」と呼ばれるその土地を抑える事は莫大な利益を生むという事にとどまらず、堂島組幹部にとって土地の権利を堂島組組長堂島宗兵(CV:江川央生)に献上する事は次期若頭として自身を売り込む絶好の機会でもあったのです。しかし問題なのは土地の所有者が行方不明という致命的なものでした。

堂島組若頭補佐である久瀬大作(CV:小沢仁志)、阿波野大樹(CV:竹内力)、渋澤啓司(CV:中野英雄)は、堂島組若頭であり堂島組内風間組組長風間新太郎(CV:渡哲也)が収監中であるこの機会を逃すまいと我先に手柄を立てるべく各々のやり方で暗躍していました。

この内部抗争に巻き込まれるのが、風間が設立した養護施設「ヒマワリ」で育った後の堂島の龍こと当時堂島組若衆桐生一馬(CV:黒田崇矢)です。極道としてまだ駆け出しだった桐生は過剰な暴力での借金の取り立てで生計を立てるなどチンピラ風情が抜けていませんでしたが、ある時「カラの一坪」で追い込みをかけた債務者が死亡したというニュースを受け、先の若頭補佐たちからカタギの殺人とカラの一坪を殺害現場とした責任を追及されてしまいます。
桐生は風間が拾ってきた若造として若頭補佐たちから目を付けられていたので全ては若頭である風間を陥れるための策略でしたが、育ての親であり恩人である風間が自身のせいで破門の危機にあると知り何とか身の潔白を示そうとします。

風間組若頭柏木修(CV:咲野俊介)の助言も顧みず、桐生は堂島組に破門を申し出て全ての事件の真相にケリをつけようと考えますが風間の身の安全の保障はありませんでした。
カタギとなった桐生は落胆の最中に神室町を牛耳る立華不動産社長立華鉄(CV:井浦新)に拾われ、不動産社員としてカラの一坪の問題に決着を付けるべく立華の右腕である立華不動産社員尾田純(CV:小西克幸)と手を組み堂島組と真正面から対立します。同じ施設で共に育った兄弟分の堂島組若衆錦山彰(CV:中谷一博)には堂島組にバレないよう何度も助けてもらいますが、彼の身を案じ兄弟の縁を切ると突き放す事もありました。

こうして東京神室町で起きた事件を皮切りに、やがて大阪蒼天掘にいる真島にも過酷な試練が訪れます。

とある女性との出会い

過去の悪夢から夜もろくに眠る事ができず精神的にも疲弊していた真島ですが、佐川から極道復帰を条件に「マキムラマコト」の殺害を依頼されます。冴島の一件もあり東城会に戻る事を強く希望している真島は“殺し”という条件に躊躇するもそれを承諾します。

マキムラの居場所を突き止めた真島はドスを片手に彼が店長をしているとされる「ほぐし快館」という整体院に乗り込みます。店内は誰もおらず警戒する真島でしたが、突然店内に若い女性(CV:沢城みゆき)が現れ姿を見られてしまいます。覚悟を決めた真島は女性にドスを向け近寄りますが、彼女は気付く事なく持っていた杖を不安気に携えたまま声を掛け続けます。

真島は彼女が盲目である事を悟ると、気付かれないようにその場を立ち去ろうとしますがとある拍子に女性とぶつかってしまい大声で叫ばれてしまいます。必死に不審者ではないと取り繕いますが客であれば納得してくれるという理屈で結局女性の施術を受ける事にします。殺し屋でありながら標的の店でマッサージを受けている自分に呆れながらも、ドスを身から離したまま真島は深い眠りについてしまうのでした。

蒼天堀に縛り付けられた真島にとって貴重な安息の時間も束の間、マキムラマコトとされる店長が戻ってくると院内は緊張感に包まれます。女性は目が見えないので強面で屈強な男同士が睨み合っている事など知る由もありません。一触即発の最中でしたが、突如ヤクザが乗り込んでくると店長を銃撃。力ずくで女性を連れ去ってしまいます。混乱する真島に店長は「アイツを…逃がしたってくれ!」と託します。マキムラマコトの正体は盲目の若い女性でした。

執拗なヤクザからマコトを守りきった真島でしたが、彼にはマキムラマコトの殺害が課せられている事に変わりありません。突然ヤクザに追い回されながらも真島の助けによって必死で逃げ惑っていたマコトは「怖かった」と涙を流しながら真島の脚にしがみついて離れようとしません。そんなマコトに優しく声を掛けながらも静かにドスを抜く真島でしたが、彼にはマコトを殺害する事はできませんでした。

真島は常に佐川の監視が付いているのでマコトを匿う事に限界がありましたが、一命を取り止めたほぐし快館店長李文海(リー・ウェンハイ)(CV:田中一成)は自身が大陸系の組織に雇われていた元殺し屋で、とある仕事の際に監禁されていたマコトを偶然助けその後も親代わりとして面倒を見ている事を明かし真島とは協力関係になります。

マコトの口からは語られませんでしたが、マコトはある理由で蒼天堀に来ていたところ「蝙蝠の刺青」をした男に言葉巧みに騙され韓国系の組織に売春目的で売り飛ばされていたという過去があり、当時の精神的ショックが原因で視覚障害に陥っていました。しかし真島も李も今回の騒動と蝙蝠の刺青の男の一件には関連性がないと踏んでいました。

いつまでもマコトの身柄を隠している事に限界を感じた李は偽装の死体を作ればいいと真島に提案します。安直な計画だと李の案に応じる事なく身代わりとする女性の写真とほぐし快館の制服が入った紙袋をおもむろに公園のゴミ箱に捨ててしまいますが、これが後の真島吾朗を形成する出会いのきっかけにもなるのでした。

西谷誉という男の影響

翌日、蒼天堀にはほぐし快館の制服を着た女性の遺体が浮かびます。真島が実行したと思い興奮する李を尻目に身に覚えのない真島はまた深く混乱します。

そんな折、キャバレーグランドを貸し切り札束片手に大騒ぎする破天荒な男がやってきます。グランドの支配人として毅然と対応する真島に、彼は近江連合直参鬼仁会会長西谷誉(CV:藤原啓治)と名乗ります。マキムラマコトの死体に偽装して別の女性を殺したのも自分だと整然と語り、取引としてマコトの身柄を要求します。真島はマコトを狙う理由を聞き出そうとしますが、徐々に話はすり替わり西谷は真島と喧嘩がしたいと強要します。客と喧嘩はできないという理屈を掲げる真島に西谷は自ら警察に通報、グランドに強盗が押し入っていると自身を犯罪者に仕立て上げます。これなら筋が通ると真島に喧嘩をふっかけますが、敗北後も何故か満足気で到着した警察に連行されるも真島との再会を待ち望んでいるようでした。

佐川に死体の不自然な点や鬼仁会とのドンパチを指摘された真島は苦し紛れにとぼけますが、やがて佐川の追っ手が執拗にマコトを付け狙うようになります。
佐川の隙を突いて李と共にマコトを蒼天堀から逃がそうと企てていたところ、いざ実行の際に李が待機していた車が爆発。黒煙から現れた佐川に銃口を向けられ後がないかと思われたその時、佐川は何者かに背後から撃たれその場で倒れてしまいます。姿を現したのは後の東城会三代目であり当時東城会直系日侠連総裁世良勝(CV:大川透)で、当時は東城会でありながら代紋は掲げずに仕事を担うという特殊な組織の座にいました。世良はマコトを連れて行こうとしますが爆発に巻き込まれ動けない真島はわずかな抵抗しかできずに世良に殴られ気を失ってしまいます。

佐川に嘘の報告をしていた事で縛り付けられ金属バットで殴られ続ける真島でしたが、鬼仁会が動いていた事でそこから足取りを掴めるかもしれないという佐川の指示から、マコトが執拗にヤクザに狙われ続ける理由もわからぬまま鬼仁会の事務所に向かいます。ここまでで真島に明かされた事といえば、マキムラマコトの殺害は嶋野の指示であり狙う理由は佐川も知らされていないという事だけでした。

鬼仁会の組員に詰め寄るも真相を知る者は西谷しかおらず、グランドでの騒動で連行されてしまった西谷に会うには留置所に向かうしか術がありませんでした。事務所で暴れた真島は組員からビリケン(CV:中尾良平)という男の存在を教えられます。
彼は現役の刑事でありながら蒼天堀の地下に“三途の川底”という法で裁かれなかった罪人同士を戦わせる違法賭博の闘技場を持つという異端な存在で、西谷の窓口となっていました。なかなか話が見えない真島にビリケンは、過去に女子高生が無残にも殺され蒼天堀に沈められた事、その犯人は高校生だった事、そして誰かの仇を取るかのようにその高校生は惨殺されたという事件があった事を明かします。むごたらしい話に眉をひそめる真島にビリケンは、殺された女子高生はビリケンの娘であり、犯人は未成年だったために少年院送りという失意のどん底に突き落とされたビリケンの代わりに仇討ちを行ったのは当時まだ高校生だった西谷だったと打ち明けました。

「外道に生まれついた人間には、外道にしかできん役割があんのや」

ビリケンの案内により蒼天堀警察署の留置所にいる西谷と再会した真島は、マコトを連れ去ったのは日侠連の世良で今頃は椿園という料亭街にいるという情報を与えられます。同時に西谷の雇い主は堂島組の渋澤であり、結局全ては日侠連の世良、堂島組の渋澤、嶋野組の嶋野の三勢力による東城会での内輪揉めに過ぎないという事から、嶋野と佐川を裏切って自分と組まないかと提案されます。西谷はマコトが殺害される心配はないと真島の意向に沿う事を強調しますが、真島はきっぱりと断ります。

「俺はマコトを殺せへんかった……俺にはマコトを生かした責任があるんや。」

「ただ命があったらええってことやない。人として生かさなアカン責任や。極道の食い物にはさせへん……!」

真島の信念に折れた西谷は共に留置所から出て蒼天堀以外の土地勘がない真島に協力する姿勢を見せますが、突如銃声と共に血まみれになったビリケンが目の前で倒れてしまいます。これにはさすがの西谷も狼狽しますが、ビリケンの背後から警官が現れ鬼の形相の西谷に何発も銃弾を撃ち込みます。自分の死を覚悟した西谷は真島を庇うように大きく手を広げると

「思いっきり暴れたらええ!思いっきり楽しんだらええ!!」

「マコトっちゅう女生かした責任……キッチリとったらんかい!!」

と喝を入れます。真島は西谷の決死の言葉を受け入れ、警官の悲鳴がとどろく留置所を後にするのでした。

神室町,歌舞伎町
神室町のモデルとなっている歌舞伎町

桐生一馬の存在

佐川と共に日侠連の居場所は抑えたものの時既に遅く、マコトは東京神室町の不動産屋に連れて行かれた後でした。ここで真島はようやく世良の口から、マキムラマコトが自身のあずかり知らぬところでカラの一坪の所有者となっていた事が狙われ続ける理由であると教えられます。世良と繋がる不動産屋にマコトを預けていれば彼女に危害は及ばないと信用した真島でしたが、追い付いた佐川が話の隙に背後から世良を銃撃します。佐川は世良の胸ポケットに入っていた名刺を引き抜き真島によこすと、そこには「立華不動産 桐生一馬」の名前がありました。ここで初めて真島は桐生の名前を目にします。こうして真島は佐川公認のもと蒼天堀を離れ、かつてのシマである神室町に戻る事になります。

佐川は関西を牛耳る近江連合の人間という事で東城会のシマである神室町内を派手に動き回るわけにもいかず、真島は単独で立華不動産を探しますが手掛かりが掴めません。なかなか本気で動こうとしない真島に痺れを切らした佐川は、カラの一坪が嶋野の手に渡った暁には近江連合が嶋野から土地の権利を100億で買い取る用意をしている事を伝えます。嶋野が近江連合を後ろ盾に東城会を裏切り神室町を支配しようとしている事とマコトの殺害には関連性がないと真島は食い下がりますが、佐川も殺害の意図に関しては嶋野にしか腹の内はわからないと言います。

引き続き神室町内を捜索していた真島は嶋野組の構成員に嶋野が直々に真島を呼び出していると告げられ料亭で対面する事になり、やがて嶋野の兄弟分でもある佐川もやってきます。嶋野は堂島に東城会を牛耳らせないためにもカラの一坪を嶋野組で抑えたい事、風間も堂島を不安視して立華不動産や日侠連を通じて裏で動いている事、そして何より真島はマキムラマコトを殺せないと踏んだ上で佐川を通じて殺害の指示を出した事などを淡々と説明します。

ヤクザに狙われるマコトを殺せずに匿い続けていればやがて真島を恋愛感情と共に慕い何でも言う事を聞くようになる。そうなれば嶋野にとっても土地の権利交渉は有利になるとし、事が運んだら嶋野組への復帰と共に用済みのマコトは「お前の好きにしたらええ」と言います。これには佐川も機嫌を良くするのですが、真島は終始口を閉ざしたままでした。

ひとしきり話が終わった後、真島は神室町を当てどころもなく歩いていました。そもそもマコトを殺せなかった事も特別な感情を抱いたかもしれない事も、全ては嶋野の計画の内だった事を知らされ自らを「ピエロ」と自嘲します。チンピラに目を付けられても抵抗する事なく殴られ続ける真島の姿からは喜怒哀楽のどれも感じられませんが、どこか吹っ切れた様子でした。

桐生を探すなら兄弟分である錦山を当たれと嶋野から指示された真島は風間組の事務所に乗り込み柏木と拳を交えます。苦戦しながらも柏木を倒した真島は組員から錦山が「セレナ」にいると聞き向かいます。

過去に嶋野組を追放されたあの真島と知りながら喧嘩に応じた錦山でしたがまるで歯が立たず、セレナのママである麗奈(CV:鶴ひろみ)は桐生を裏切れない錦山の代わりに「彼女なら姿を消した」と伝えます。
真島はマコトにとって脅威ではないと判断した錦山は、マコトが中国残留孤児二世で日本に密航した兄を探すために蒼天堀におり、その兄はつい先日に堂島組から拷問を受け死亡した事を伝えます。マコトの兄とは桐生と行動を共にしていた立華不動産社長の立華鉄です。

真島には詳細に説明される事はありませんが、マコトを韓国系組織に売り飛ばした「蝙蝠の刺青」の男は立華と出会う前に蒼天堀で幅を利かせていた尾田でした。尾田は桐生と共に蒼天堀から神室町へとマコトを連れて行く際に桐生とマコトを殺害し自身の罪を兄貴分の立華に知らせまいと企てますが、最終的には全てを自供し最期は裏で立華不動産の情報を流していた渋澤組に殺されています。

カラの一坪ができた理由は立華鉄とマコト(筱喬/シャオチャオ)の祖父が、名義を残した土地を保有していればいつかこの土地を手がかりに家族が再会できるのではないかという希望を託して残していたものでしたが、皮肉にもそれが今回の騒動の火種となってしまうのでした。

路地裏
“カラの一坪”は路地裏に存在する端切れの土地

マキムラマコトへの思い

桐生と錦山の手引きにより兄との再会を果たしたマコトでしたが、見えなくとも最愛の兄が残忍な拷問を受けて既に絶命している事を理解したマコトは、桐生に匿われていた西公園のホームレス街を抜け出して神室町の街中へ飛び出してしまいます。桐生も、桐生と同様に組を裏切ってでも桐生と共闘する道を選んだ錦山もそんな彼女を探している最中でした。もちろん真島も直ちに捜索に出て行きます。

発端のカラの一坪を実際に見た事がなかった真島が現場に立ち寄ると、それを見下ろすかのようにマコトと思しき女性が隣接するビルの屋上に立っていました。慌てて女性のもとへ向かった真島は戸惑いながらも呼び掛けます。振り返ったマコトは真っ直ぐ前を見据え、まるで真島の事が見えているかのようでした。それに気付いた真島が問いかけると「なんとか街を歩ける程度には」「(真島が)そこにいるってことくらいは見える」と言います。少し安心した真島はなおもマコトに優しく語りかけますが、マコトは兄の立華を拷問の末に殺害した堂島組に強い復讐心を燃やしていました。

「安心せえ 俺が一緒におる なにがあっても必ず守ったる」

真島の心からの声も届かず、放っておいてと一蹴するマコトは堂島組幹部と組長の殺害を匂わせるような依頼をふっかけます。

「もともと 私のことも殺そうとしたんでしょ?」

素直で純粋なマコトが周囲への不信感や嫌悪感を露わに復讐心に駆られている姿を見る真島の目はとても悲哀に満ちたものでした。真島にとってマコトの心中を察するにはあまりにも残酷な事の連続で、これ以上話をしても埒が明かないと思ったのか、真島は2人が出会ったばかりの頃に蒼天掘で食べたようにたこ焼きを食べに行こうと提案します。その手には乗らないと態度を崩さないマコトは、その後はひとりにして欲しいと突き放します。

移動中は真島に手助けられながらも終始真島に対しても心を開かない様子でした。しかし常にマコトを気に掛ける真島の様子を察した屋台のおばちゃんに「いい人じゃない」と笑顔で問いかけられると、真島は照れ隠しに話を遮ろうとしますがマコトはそれまでの態度とは打って変わり

「いい人です このひとがいなかったら今頃もう私は…」

と真島への思いを途切れる事なく口にします。隣で聞いていた真島でしたが何も言えずに彼女を見つめる事しかできません。

ひとまず落ち着いたように見えたマコトでしたが、再びたこ焼きが食べたいと言って真島から離れようとします。安堵からか警戒を解いてしまった真島は公園にマコトを置いたまま屋台へ向かってしまうのですが、戻った時にはマコトの姿はありませんでした。

真島は公園のホームレスから伝言を受け約束の時間にマコトと再会したビルの屋上へ向かいますが、真島を待ち受けていたのは渋澤組の構成員でした。組員は依頼を果たせなかった鬼仁会の西谷を消すよう仕向けた事、マコト自ら渋澤組に土地の権利を譲ると連絡してきた事を明かしますが、真島はマコトが行動の裏で自身の助けを求めている事を確信し単身マコトの救出に乗り出します。

神室町を離れ六本木のビルでは既に堂島宗兵、久瀬、阿波野、渋澤がマコトを迎え入れていました。マコトを引き渡した渋澤は次期若頭のポストをほのめかされ久瀬と阿波野には緊張が走りますが、マコトは堂島に対して立華不動産の社長が自分の兄である事を主張すると、兄を殺した幹部3人の首を堂島自ら取るのが土地を譲る条件だという取引を持ちかけます。

そこに階下の組員を倒した真島が乗り込んできますが、マコトは無残にも、桐生を狙撃し立華鉄を堂島組に引き渡した雇われの殺し屋である老鬼(ラオグゥェイ)(CV:鈴木幸二)の銃弾に倒れてしまいます。唖然とするもすぐさま怒りで突進する真島ですが組員に阻まれて堂島と幹部らはヘリで去ってしまいます。虫の息のマコトに駆け寄る真島はマコトから謝罪され、堂島組は土地の所有者は既にマコトしかいない事を洗い出したのでマコトを殺害する事で土地の権利問題は有耶無耶にするつもりだったと伝えられたと言います。極道社会の恐ろしさを知らずに真島を危険に晒して復讐を考えてしまった自分を世間知らずだと戒め、幾度も真島に助けられている事に謝罪しながらマコトは気を失ってしまいます。

絶望に打ちひしがれる真島でしたが、背後から椿園で佐川が撃ったはずの世良がやってきます。世良は真島も連れて直ちにマコトを病院に搬送しますが、マコトを守ると誓ったにもかかわらず結局自分の目の前で極道に撃たれてしまったという現実に、真島は悔しさを滲ませて泣きながら崩れ落ちるしかありませんでした。

「復讐でもなんでも お前の望みは 俺が叶えたるから せやから 頼む 頼む……!」

マコトは一命を取り留めるも意識不明の重体のまま世良の手によって芝浦に停泊する船に移送されます。堂島組の次期若頭として動き始めた渋澤は堂島に報告こそしなかったものの、風間の息がかかった人間を全員炙り出すためにあえてマコトに致命傷を負わせる事はしていませんでした。渋澤の狙いは陰で立華不動産と通じていた風間組と日侠連を潰して東城会トップの座を取る事でした。

たこ焼き
真島とマコトを密かに繋いでいたたこ焼き

「嶋野の狂犬」真島吾朗の誕生

因縁の相手となった久世と最後の決着を付けた桐生は錦山と共に渋澤組が乗り込んだ芝浦埠頭に向かいます。
一方真島はマコトが堂島組に撃たれた事から豹変。これ以上騒動に関わったら「嶋野の親父であろうと殺す」と佐川に釘をさすと堂島組に復讐に向かいます。蒼天堀では常に冷静だった真島はいよいよ感情を抑え切れなくなり、そんな様子を見た佐川は真島の変化に気付きます。

「女ひとりのために狂っちまったな 真島ちゃん 狂犬みてえな顔してるぜ」

普段なら自身の指示に背いて行動する真島に対しては殺意を剥き出しにしていた佐川なのですが、今回ばかりは「やっと檻から飛び出した」とどこかで真島の暴走を期待していたかのように呟くのでした。

芝浦埠頭では渋澤組、風間組、日侠連で戦争が勃発していました。桐生はマコトの居所を突き止めた渋澤に戦いを挑み、彼の企てを阻止します。立華や尾田やマコトに次々と手を掛けた渋澤への怒りから渋澤の殺害を意識した時、錦山が飛び出してきて「一線を超えてはならない」と桐生を説得します。

芝浦で戦争が起きる中、堂島組事務所に単身復讐劇に乗り込んだ真島は阿波野との戦闘を通じて、自身が李や西谷の言動に感化されている事を自覚します。

「そいつらのくだらん生き方が 俺は男の最高の生き様やと気がついたんや」

突如現れた老鬼に銃口を向けられ危機に直面しますが、真島を庇った阿波野は老鬼に殺されてしまいます。老鬼の背後からは堂島宗兵が姿を現し、「力ってのはこういうもんだ」と真島を威圧します。

老鬼との死闘の末、マコトに直接手を掛けた憎しみから失神寸前の老鬼を執拗に殴り続ける真島に堂島は発砲しますが照準が合わせられず真島には当たりません。凄まじい殺意で挑発する真島に再度発砲しようとする堂島を止めたのは世良でした。
世良はカラの一坪の権利は意識が戻ったマコトから既に日侠連に渡った事を告げ事態の収束を宣言しますが、それでも堂島や老鬼を殺さないとマコトの今後の人生が不安でならないと訴える真島に世良は冴島を引き合いに出して諭します。

「冴島大河が18人殺した罪を背負ったときのお前と同じ苦しみを味わうことになる」

真島は今後マコトがこれ以上追い詰められる事はないと世良から説得され、殺意に満ちた拳を抑えます。

真島に残された最後の仕事は近江連合と通じて東城会への裏切りを画策していた嶋野にケジメを付けさせる事でした。世良から拳銃を託された真島は近江連合の本部長と会談中の嶋野の元へ赴き、嶋野の身の潔白の証明と嶋野組内での裏切り者の処分を迫ります。真島は何かを覚悟したかのように「何があっても親父の子ですわ」と述べると

「冴島の兄弟に…俺が謝っていたと伝えてください」

と願い嶋野の身代わりとしてその場で射殺される事を覚悟しますが、嶋野は真島に向けていた銃口を逸らすとその場に居合わせた近江連合の本部長に発砲します。嶋野は「近江連合との関係などなかった」と言い真島には後の嶋野組を支える「最強の武器」としての期待を寄せその場を後にします。

事件から1ヶ月後、カラの一坪を手に入れられなかった堂島組は久世、阿波野、渋澤の三幹部も失い東城会内で弱体化してしまいます。風間の思惑通り東城会本家若頭に日侠連の世良が抜擢され、勢力図が大きく動き出します。

真島はポニーテールと黒のスーツから一転、テクノカットに蛇柄のジャケットというお馴染みのスタイルで佐川と再会します。真島を「控えめ」「地味な男」と思っていた佐川はその変貌ぶりを茶化しますが、真島は

「何が正しくて 何が悪いか分からんこの街で 誰よりも楽しく 誰よりも狂った生き方 したるってな」

と言い、別れ際には終始敵対視していた佐川にも「執着心の塊のような男」から「諦めんことの重要さを教わった」と謝辞を述べます。

「俺も執着するで 真島吾朗っちゅう男の生き方に」

佐川の生き様から自身の生き方を学んだ真島が去った直後、皮肉にも既に自身の最期を見通していた佐川は近江連合の人間に捕まり銃声と共に姿を消すのでした。

マキムラマコトとの再会

神室町再開発計画での抗争も幕を閉じ、神室町では日常的にチンピラが女性に絡んでいました。チンピラ相手に臆する事なく平手打ちで抵抗する女性は恫喝され掛けますが、そこに真島がやってきます。チンピラたちは真島を「兄貴」と呼び、女性を売れば良い金になると提案します。真島の登場に調子に乗った子分らは真島の名を口にしようとしますが即座に殴られてしまいます。子分に絡まれていたのは病院に搬送されてからは会う事のなかったマキムラマコトでした。彼女は完全に目が見えているようで、何も喋らずに視線だけ送る男をまっすぐに見つめます。
そこにマコトの主治医である男性が現れ、マコトから離れるよう極道相手に果敢に立ち向かってきます。真島は一言も発する事なくマコトが見える範囲内で男性を連れ出すと「彼女に惚れとるんか?」とにじり寄ります。脈絡のない質問に面食らう男性でしたが

「ケジメ つけてくれや 俺のためにも」

と食い下がる真島の妙な真剣さに「愛している」とマコトへの本心を吐露します。

裏社会からマコトを切り離す責任を果たせた真島は彼女には素性を明かす事なくそのまま立ち去りますが、そんな真島を見たマコトは「悲しそうな目をしていたな」と見知らぬ男の背中を目で追い続けるのでした。

伝説の始まり

全ての騒動に決着が付いた後、マコトは兄が亡くなったカラの一坪にひとり花を手向け、兄に語りかけるように李や桐生に感謝の意を述べます。そして結局名前もわからず感謝の言葉も伝えられないまま離れてしまった真島の事を思います。するとどこからかオルゴールの音が響き、マコトが音のする地中を掘ると腕時計が埋められていました。それはマコトが事件の渦中に手放していた壊れたオルゴール付きの腕時計でしたが、真島はそっと自分の胸ポケットに入れたまま肌身離さず保管していました。マコトは声とおぼろげにしか姿を知らない男の優しさにその場で涙します。

場所はいつもの神室町。雑踏を闊歩する2人の男が対峙します。堂島の龍と嶋野の狂犬として覚醒した2人はお互いの存在に気付くと歩みを止め真剣な表情で向かい合います。先に切り出したのは真島でした。檻から解き放たれ自身の生き方を見出した真島は開口一番歓喜の表情で「桐生ちゃん!」と叫び、桐生も片方の口角を上げてそれに答えるのでした。

男の成長を追体験する

『龍が如く0』は桐生一馬と真島吾朗、2人の男が極道(操作中は破門されていますが)としてまだ下っ端だった頃の過去編です。

当時桐生は20歳、真島は24歳でした。後のシリーズでは伝説の極道として語られる彼らがどのような出会いと経験を経て伝説となったのかはファンにとっては気になるストーリーですが、『龍が如く』での桐生と錦山の関係性や結末を知ってしまっていると2人の若々しい無邪気なやり取りや誰よりも固い絆もどこか切なく映ってしまいます。

とりわけ過去編はどの作品でも人気が高まりやすいですが、0は全シリーズ通して歴代最高と呼び声が高いのにはやはり人気投票でも1位を取り続ける真島吾朗の描写も大きいのかもしれません。0は桐生の物語でもありサブストーリーやシノギなどでは神室町を箱庭として歩き回れる桐生の方がボリュームがありますが、全体を通して見ると真島のパーソナリティの描写に比重が置かれているように感じられます。

敢えて深読みするのであれば、1985年の真島と冴島の回想シーンや蒼天堀での立ち回りから見るに真島は基本的に配慮や気配りが上手く常識的で頭も切れる真面目な人間です。嶋野に手駒にされていた時もプライドを折られて無気力になる人間味も持っています。彼が狂犬と呼ばれるようになった性格を形成したのには、マキムラマコトはもちろん西谷誉や佐川司など0で彼と関わった人間の存在が大きいのは(後付けの設定とは言え)明白です。

桐生はまだ風間の後を追うだけの若いチンピラでありながら0の時点で既に風格があり、錦山や柏木が強引にでも制止するなか堂島組の幹部を序盤から敵に回して大暴れするなど良くも悪くも桐生らしさ全開で物語が始動します。真島も「夜の帝王」として蒼天堀で一躍有名人になったりと生来のカリスマ性は発揮していますが、冴島の事もあり佐川や嶋野には逆らえずに蒼天堀という牢獄で鬱屈しています。そこで佐川司との付き合い、マキムラマコトとの出会い、西谷誉との喧嘩を経て、自身の生き方を模索していきます。

しかし、彼にとって狂犬へと覚醒したのは本当の自分を取り戻したであるとか、内なる能力を引き出したというような類のものでもないように感じられます。
シリーズを追うごとに年齢を重ねているという事もあってか、東城会四代目を襲名しながらも早々にカタギに戻った桐生と比べると、桐生から堂島宗兵の息子で東城会六代目でもある堂島大吾を託された組織の幹部として力を維持しながら立ち回り続けなければならなくなった真島は冴島に「最近食欲がない」などと弱音を吐くような場面も増えました。真島といえば命など顧みず自身の欲望と信念で動く狂気的なイメージが強いですが、ナンバリング毎におとなしくなっているのが顕著です。単純に出番が少ないというのもありますが、徐々に0の性格に戻っているようにも見えます。

桐生に付きまとい問題を引っ掻き回したり組を抜けて建設会社の社長として再始動したりとパワフルな真島を知っているファンからすると弱気な兄さんは見たくない!かもしれませんが、真島が言う通り「ギラギラしていた」頃とは勝手が違ってくるのは仕方ないのかもしれません。西谷や佐川から教わった極道としての生き方を見事に受け継いでいるようではありましたが、心情の変化や気持ちのブレという全てを貫抜ききれない人間臭さというリアルもまたシリーズの魅力に感じます。極道という立場はさておき、真島のように自由に正直に潔く生きたいと憧れを抱かせると同時に、狂気の裏で彼本来の生真面目さや頭の良さなどが時折行動にストップをかけているのではないかと邪推させる表現には人間の普遍的なジレンマを感じさせられました。

極道への復帰を目指す者でありながらカタギのマコトに少なからず愛情を抱いてしまった真島は、素性を明かす事なくマコトの主治医に彼女を幸せにする覚悟があるのか強引に詰め寄るなど不器用ながら実直に彼女の幸せを願う事で自身の思いと向き合います。そんな彼女への思慕や西谷の狂気的な生き様がトリガーとなって監視役の佐川にも親である嶋野にも歯向かう狂犬へと変容する真島の爆発力はカタルシスのようなものにも似ています。

また印象的なのは髪型や服装などを変えた後でも露骨に性格が変化する描写はありませんでした。彼の外見の変化は決意の表れだった事は台詞からも見て取れます。
本編では桐生と真島がお互いの存在を認識する事はあっても共闘したり何か直接やり取りをするという事はなく、エピローグで真島が桐生に声を掛けたところが最初で最後の掛け合いです。真島らしい狂気さはここでようやく見られます。佐川から「狂犬」と称された頃にはマコトが撃たれた事で怒りが露わになっており西谷や佐川のような土壇場で見せる余裕はまだなかったのですが、マコトに対しての「ケジメ」にもようやく決着が付いた真島は桐生との出会いもあって自分の道を生きる事ができるようになったようにも取れます。

真島と桐生が最後に対峙した際に流れたBGMは初代龍が如くのテーマ曲かつ対真島戦でのBGM『Receive You』です。PS2版のCMでよく流れていたので馴染みがあるかもしれません。ここから全ての始まりに繋がっていくという表現ががっちり合わさったところで「完」となる演出はシリーズ最高傑作と評されるのも納得です。

ちなみに『龍が如く OF THE END』で初のプレイアブルキャラクターとなった兄さんですが、開発側としてはナンバリング作品で主人公にする予定は全くなかったようですね。結果的に桐生編後期になって桐生と真島のダブル主人公で新作がリリースされたのは何故かファンとしては感慨深い物があります。

2016年にシリーズは「桐生一馬 最終章」を迎え『龍が如く ONLINE』に移行しているので、最新作『龍が如く7』に桐生や真島、冴島といったお馴染みのキャラクターが登場する事はなさそうで寂しい限りですが、彼らの半生はもう充分描き切られたと考えれば世代交代も不自然ではないのかもしれません。


* * *

2020/4/16追記)
2020年4月12日、西谷誉役の藤原啓治さんが55歳という若さで亡くなりました。野原ひろし役などでも大変有名な方ですが、西谷の魅力を最大限に引き出した演技に心打たれていた身としては残念でなりません。ご冥福をお祈りいたします。


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