【ネタバレ感想】劇場版総集編『呪術廻戦 懐玉・玉折』を観て青春のあの頃を取り戻してきたよ
以前より気になっていた劇場版総集編『呪術廻戦 懐玉・玉折』観てまいりました。この初夏(とはいえ毎日うんざりする暑さですが)にぴったりの青春をギンギンに浴びてきました。
作品のジャンルとしては「ダーク・ファンタジー · バトル」ということで穏やかではありません。劇中でも暴力やそれ以上の描写もありますので、小さいおこさまやアニメーションでも血しぶきなどの描写や音声が苦手な方には大画面での鑑賞はもしかしたら怖いと感じるかもしれませんが、私はそういった残酷なシーンが日常との対比となっていたと思うので物語の展開には必要な場面だったと思いながら観ておりました。
もともとTVシリーズで放送&配信している頃から「懐玉・玉折」は何度も繰り返し観てしまうくらいにはハマってしまっていて、いわゆるジャンプ作品の過去編というブーストもさることながら、なかでも家入硝子の絶妙なポジションが華を添えていて好きでした。
ちなみに家入硝子役の遠藤綾さんは「おそ松さん」のトト子ちゃんや、2016年以降は水谷優子さんから引き継いでミニーマウスの声も担当している可愛いらしい役者さんでファンです。ミニーちゃんは本当に違和感がなくてDヲタ??としては水谷さんの雰囲気に寄せてくださったのかなぁと毎回聞く度に涙がちょちょ切れそうになります。
それぞれが抱く"青春"
懐玉・玉折は物語の核になる東京都立呪術高等専門学校で教師をしている五条悟が同校で学生時代だった頃のお話。家入硝子は当時から反転術式で治療を行うサポートに回っている。かなり乱暴にざっくり言ってしまうと五条の覚醒と夏油の闇堕ちを描いた物語でもあります。
その中でも異質な存在でありながら人気も高いキャラクターが「天与呪縛のフィジカルギフテッド(27話の五条)」つまりは呪力を全く持たないことから驚異的な身体能力を得ているという超強敵の伏黒甚爾です。五条は彼の攻撃によって反転術式も使えるようになりすっかり"覚醒"してしまいました。まるで武侠小説のようです。
星漿体である天内理子が目的だったはずの甚爾が「"タダ働きなんてごめんだね"」「それ(自尊心)は捨てた」にもかかわらず覚醒した五条悟を前に『違和感』を捨て「これでいい」と戦闘に本気になってしまう。既に実子である伏黒恵がいるお父さん世代でありながら、その年齢や状況を生き抜くために捨てたはずものを取り返そうとしてしまったことが敗因だと死に際に認めています。
自分を肯定するために
いつもの自分を曲げちまった
呪術界の頂点に成った五条を倒すことでひいては自身を否定した禅院家を「否定したくなった」「ねじ伏せてみたくなった」ほどの情熱が復活したおじさんの青春が描かれていたことを再確認できる機会でした(アニメ5話分を集中して通しで観ることがあまりないため)。
学生時代の五条たちは過去の自分と重ね合わせることができますが、今の自分は甚爾の方が感情移入しやすいかもしれません。そもそも生い立ちも何もかも違うのでそこまで肩入れできる要素が多いわけではありませんが、年齢や経験を重ねるにつれて徐々になくしていった尊厳を「取り戻したい」と思う心根みたいなものは人間誰しも持ち合わせているのではないでしょうか。
誰もが夏油になり得る脆弱性
甚爾との戦いを機に「俺たち最強だし(25話の五条)」「私たちは最強なんだ(27話の夏油)」から1年後の2007年の夏には「悟は最強になった(29話の夏油)」と周囲が認める通り1人でも最強になってしまった五条。硝子は術式の性質上前線に出ることがないこともあって3人ばらばらで任務をこなすことが多くなった。
呪霊を祓う取り込むの繰り返しにより心身を擦り減らしていた夏油は1年前には大切にしていた「呪術師」としての存在意義(非呪師を救う/弱きを助け強きを挫く)や意味を見出せなくなってしまっていた。そうした中で純粋だった後輩の灰原雄の死を端に「呪術師たちの競争」という現実を容赦なく叩き込まれる。灰原と同学年の七海建人も「もうあの人(五条)1人でよくないですか?」と疲弊していた。九十九の"対症療法と原因療法"に関する助言が決定的な引き金になったという指摘も多いが、彼自身による生き方の判断と決断であることには変わりはない。
これはあくまで呪術界という架空の組織での出来事ですが、決して現代社会と結びつかないものではありません。いつも同じスタートラインに立っていたと思っていた友人たちが違う方向を向きながら徐々に遠くなっていく感覚。最初に掲げていた崇高な信念を貫き通すことに意味を見出せなくなり走り続けることに摩耗してくる感覚。周囲の何気ない一言に救われたり簡単にトドメを刺される脆弱性がある心など。特に青春期(思春期)の頃は良くも悪くもブレやすい脆さが描かれている気がして、単なる闇落ちストーリーとして片付けるのはもったいないと思っています。
世代に刺さる"写真"の描写
今回の劇場版でいちばん評価が高いと言っても過言ではないのが「エンディングムービー」です。エンドクレジットは別で用意されていますが、こちらは『青のすみか (Acoustic ver.)/キタニタツヤ』とともに、高専の入学式から卒業式までの写真がスライドショーのように流れていきます。
入場者特典として一部ネタバレはしているのでざっとした説明文を添えて。
有線のイヤホンで音楽を聴いて机に突っ伏して寝る/背中を見せてピース/球技大会らしき写真が多い/学園祭で記念撮影/教室で雑魚寝/盗撮/変顔/逆光/手ブレ
卒業式に夏油がいないのはやはり切ないですね。事件を起こして「猿(非呪師)は嫌い」と思う自分に正直になった結果「呪詛師」となっていつも一緒だったはずの五条と硝子と袂を分かつことになったことが表現されている1枚です。
私も高校時代にデジカメは持たせてもらえなかったので使い捨てカメラ(写ルンですやコダックを中心としたレンズ付きフィルム)を買ってふざけて撮っている時期があったのですが、たまに現像した写真のアルバムを見返すと「なんでこんな写真撮ったんだろう」という意味のわからない光景が残されているわけです。
今現在のスマホの内蔵カメラと比較すれば格段に性能が劣ること、直接フィルムに焼き付けるので逆行や夜間にはほぼ使用できないこと、撮り直しができずカメラ1台につき24枚撮りくらいなのと1枚撮るごとにダイヤルをがりがりする巻き上げが必要なので連写(バースト)できないという特徴があります。そのため加工や「盛れた1枚」を選別するということが難しく自然体でその時の情緒に近い写真が多く撮影できるというメリット??もあります。
間違えて使い切る前にフィルムの蓋を開けてしまうと感光してしまい使い物にならなくなってしまいます…が、あえてそれを利用した撮影方法もあります。巻き上げが甘くて1枚の写真に2シーン入るという謎の現象も起こりました。カメラに詳しくなくても割と当時のあるあるだと思います。現像した写真(光沢と絹目が選べますが基本は光沢)にらくがきしたい時にの必須アイテムは学園祭などでも大活躍した「ポスカ(POSCA)」です。
音楽と世界観のマッチが素晴らしい
照井順政さんの音楽が世界観とマッチしていて最近はアニメのサントラを聴き倒すことはかなり減ったのですが(絶頂期はエヴァだらけ)あまりないのですが「With Rage」は特に好きでSpotifyお気に入りにも登録しております。
渋谷事変36話で呪詛師の重面に補助監督の新田と釘崎が襲撃され、松濤文化村ストリートから東急百貨店本店で繰り広げられる戦闘場面で流れるのを聴いてから特に意識するようになりました。襲われた伊地知を発見してから助けに現れた七海が「仲間の数と配置は?」と繰り返し問い続けるあのシーンのちょっとだけ前のところです。
重面との戦闘により新田は負傷し、釘崎も追い詰められるが、駆けつけた七海によって重面は倒される。
わざわざ指摘するまでもなかろう主題歌。オープニングの『青のすみか/キタニタツヤ』とエンディングの『燈/崎山蒼志』は「懐玉・玉折」の顔とも言える圧倒的存在感を放っております。
今でも青が棲んでいる
今でも青が澄んでいる
同じ読みでも漢字が違うだけで意味がガラリと変わるのは日本語のいやらしいところでもあり素晴らしいところです。
何処にでもあるようなものが
ここにしかないことに気づく
こういったシンプルな言葉が響く年齢になりました。例えるなら風邪をひいて寝込んで何も飲み食いできず安眠することもできない状況から復活した時に「お水が美味しい」「ご飯が食べられる」「よく眠れる」ということの尊さを感じるのと似ているかもわかりません(個人の見解です)。
まさしく「天上天下唯我独尊」な時代が誰にでも無意識なうちにあったと思うんですね。私みたいな人間でも自分自身を過信しすぎることで痛い時期(≒厨二病)はありました。友達と一緒だとつい気が大きくなって知らず知らずのうちに周囲に迷惑をかけていたこともあったでしょう。親の苦労もわからず全てを理解していると思い込んで生意気な考え方に振り回されていたこともありました。若さゆえの強さと弱さが見事に描かれた名作だと私は思っています。
過ぎ去り季節はグラフィティ
参考引用:
TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト EPISODES > #28「懐玉-肆-」(https://jujutsukaisen.jp/episodes/28.php)2025.07.13
TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト 「渋谷事変」現在地(https://jujutsukaisen.jp/shibuyaincidentnow/37.php)2025.07.13
富士フイルム 写ルンです™(https://quicksnap.fujifilm.com/ja-jp/)2025.07.13
三菱鉛筆 トップ > 商品情報 > サインペン・マーカー 事務用品・学用品 > ポスカ(https://www.mpuni.co.jp/products/felt_tip_pens/water_based/posca/standard.html)2025.07.13
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