需要のない思い出―陰キャの学生時代のときめきなんてのはこんなものです
2月といえばバレンタインデー。私が学生の頃は今はあるのかわかりませんが「友チョコ」はやりました。生チョコトリュフ(要は板チョコを溶かして生クリームを足して冷やしてココアを振りかけただけ)とキスチョコはめちゃ流行ってました。でも男子学生を呼び出して渡すとか下駄箱や机の中にそっと入れるとか少女漫画みたいな思い出は全くありません。
社会人になってからは慕っている上司や同期などには性別問わず義理チョコを渡したような記憶はありますが、最初の頃こそちょっと新鮮でしたが中には既婚者のひともいるので段々基準がよくわからなくなってきて会社の先輩や同期に相談したこともありました。結局近所のスーパーで買った超絶センスゼロのお菓子をご機嫌取りも兼ねて適当にデスクに置いておく(男性は営業や外回りが多かったので)ことが増えました。女性や同じ内勤のおじさんたちにはガチめに選んで一応「バレンタインデー」というものを楽しんでおりました。
あれからピー年。会社組織で働くという選択肢からいったん外れてしまった私にとってほぼ縁のない謎行事となりましたが、この時期になるとちょっと思い出すラブリーな思い出。小さい頃から男性が苦手で基本的に女性や女子の側でもじもじしている超ド陰キャだったので、異性愛者ではありますが学校に通っている頃は「恋愛」などというものは私にとって全くの専門外でした。それでも私も一応おんなのこ。それなりに「恋」とまではいかなくとも「憧れ」や「頼もしさ」みたいなものを男子に抱いたこともあり。超需要皆無ですがせっかく思い出したので書いて葬ります。
小学校のサッカー部Aくん
印象的な出来事
1995年 阪神淡路大震災
1995年 地下鉄サリン事件
1996年 チェルノブイリ原発事故から10年
1996年 ソビエト連邦崩壊から5年
内気な私は小学校入学当時から友達からのちょっかいをうまく受け流せずに早々と陰キャの道に突き進んでいきました。それでも女子児童とは普通に遊べるくらいにまで社交性を発揮できるようになり、割と辛辣に当たられていた女子からも「いじめてごめんね」と突然の告白を受け親友になりました。その友達とはいったん彼女の転校で離れてしまったのですが、中学で再会した際にはいつも一緒にいて放課後も毎日バカみたいに遊んでいました。なので親友というのはどういうきっかけでできるのか本当に不思議な縁だと思います。
さて、それでもやはり積極的に仲良くできなかったのが男子児童。女子小学生には「男子ってマジむかつく」「本当ガキだよねー」という時期が必ずあるので(女子の方が成長が早いため??)私としても「ああ、別に男子と仲良くしなくてもいいんだ」と安心していたのですが、小学校高学年くらいになった途端に急に女子も男子も色気付きだしてしまいあっという間に男女共学の輪から外れました。幸いにも女の子は優しく接してくれていましたが、地味で寡黙な私は男子から見事に「菌」的な扱いを受けるようになり(ぶっちゃけ今考えると私が起因を作ったのは否めない)男子に対して恐怖心と敵対心を抱くように。
なので小学生時代は男性恐怖症の基盤を生成した暗黒時代と称しても過言ではありませんが、振り返ってみると「こんな感じの男子いたなぁ」という、えもい思い出も。
ある時、女子数名と教室で遊んでいたらからかい甲斐のある私は奇々怪々なあだ名を付けられ爆笑の渦に陥れられる羽目に。もちろん愉快ではありませんでしたが言い返したりすることもできずにいたら、それを目撃していた正義感溢れる誰かが担任の先生にご報告したため早急に学級会議となり恥ずかしさと情けなさで私は号泣。その時隣に座っていた男子児童が「だいじょうぶ??」と声を掛けてくれたのが妙に記憶に残っております。
誰かは鮮明には覚えていないのですが多分ちびっこサッカークラブ系に所属していてKPを担当していたAくんとします。キーパーだからなのかはわかりませんがいつも指先だけ出るタイプの手袋を付けていました。サッカー経験者というと細いイケメン系が想像されがちかもしれませんが、どちらかというとぽちゃっとしていていつも朗らかなタイプだったと思います。今思うとキーパー適正◎の男の子でしたが、今どこで何をしているかは全く知りません。
他にもたいして仲良くないのに思いやってくれるタイプの優しい男の子(今思うと親の教育の賜物)もいましたが、男はハートや!!(←失礼っぽいですが本当にコレ)と価値観を正してくれた性格の良い男の子でした。
中学校のバスケ部Bくん
印象的な出来事
2000年 2000年問題、20世紀の終わり
無事にマンガとゲームと妄想が好きな陰の者を極めたまま地元の公立中学に進学した私ですが、いちばん驚いたのは中学生ともなると女子も男子も第二次性徴まっさかりにより頭の中は「恋愛≒性」への好奇心でいっぱい。実践した性の知識を披露してくる愉快な友達がいたり、彼氏がいる友達を公園に引っ張り出して卑猥な質問を繰り返す謎の集団に加わったりなかなか青春ではありました。もちろん私もむっつりスケベでしたが、ここにきてはじめて男を巡る女のガチンコの戦いを見た気がします。
当時やたら顔立ちがジャニーズっぽい男子生徒(Jくんとします)と同じクラスになり、席も近くなることがあったので彼の影響力を目の当たりにした際には女の本当の恐ろしさを体感しました。私自身は小学校から仲の良い男子もひとりもおらず、もちろん新たに開拓できる程のコミュ力もなかったのでこうした揉め事に関しては完全なる蚊帳の外でした。Jくんがモテにモテているのは全くの部外者でもよくわかりましたが、少しでも彼にちょっかいをかけたり仲良く話したりする女子学生がいると「ふざけるな」と明らかに機嫌を悪くするコが多いこと。今で言うところの「同担拒否」状態で、付き合っているわけでもないのに彼の周囲に女子がいることが許せないという一定の集団がいました。
そうした不穏な情勢を知ってか知らずかJくんがいつも休み時間に話しかけに行くのが同じバスケ部のBくん。このBくんがこれまた男前で、正直私は中学生の割に背が高くて落ち着きがあるBくんの方が絶対にモテるだろうと思っていたのですが意外とそうでもない。というのもBくんの趣味は完全に当時のおたくで、深夜の文化放送で声優のラジオ番組を欠かさず聴いているのではないかと思えるほどの知識の徹底振り。休み時間や自由時間にはひとりで席に座っているタイプだったので私も付近の自席に座っているとコアな話題にはつい聞き耳を立ててしまいBくんの熱はよく伝わりました。わざわざ学校裏でたばこをふかしたり生意気に彼女を作ったりする陽キャ集団に媚びることもなく、むしろスクールカースト的には最下位レベルのおたく集団ととても仲が良かったので「(いつでもカースト上位を潰せそうなのに)聖人やな」と思っていました。
中学生ともなると周囲の目を気にしてキョロ充になったり発育の差があるのに垢抜けていないタイプの男子に対して歯牙にもかけない態度だったりする男子生徒もいるのに、そんなことで交友関係を選ばない全くブレないその姿勢に感激すら覚えていた気がします。
ちなみに、校内でモテすぎるがゆえに女子同士の紛争まで巻き起こす親友Jくんに慕われすぎたせいで(普通に幼馴染っぽくて仲が良かっただけ)「この間公園で2人きりでブランコに乗ってるのを見た」「彼らはできている」と腐女子の友達に妄想を植え付けました。つまりモテすぎくんもBくんも同性愛なのではないかと推察されるほどに女子学生との情事には全く興味がないように見えました。これで実は当時大学生や社会人の女性と付き合っていたとかの事実があったとすれば、それはそれで尊敬ですね。
高校の野球部先輩さんと草野さん
印象的な出来事
2001年 アメリカ同時多発テロ事件(9.11)
さて、都内の公立校に入学した私の次のときめきは少し意味合い的なものが変わってきました。というのも校内の先輩や芸能人などが共通の話題になるパターンが多く、あの友達は俳優が好き、あっちの友達はアイドル、こっちの友達はお笑い芸人、そっちの友達は部や委員会の先輩、といった感じに「推し」(当時にはない言葉)が必ずおりまして、私も波に乗って珍しく好きな異性を公言していました。それが野球部に在籍していた先輩(面識はなく練習風景を窓から見て勝手に友達とインスタントカメラで盗撮する)と、スピッツのボーカル兼ギタリストの草野マサムネ先生でした。当時はまだガラケーだったのでレコード店や本屋に行って音楽雑誌を手に取ることも多く、お金がないので中古屋でアルバムを揃えたりクラスメイトに貸してもらったりしていました。
一方先輩が卒業する際には周囲の強引な根回しと後押しがあり2ショット写真を撮影してもらうことに成功。現像を見た際の先輩の「(誰…??)」みたいな不快そうな表情に悲しみを覚えるも当たり前の話。唯一の青春ショットですが、女友達と楽しそうにしている写真の方が自分らしくて好きです(←負け惜しみではない!!)。
* * *
そんな高校でも実際に誰かと誰かがお付き合いしているという事例はほぼなく、割と遊びや部活や大学受験に向けての勉強など自分のやりたいことに熱を費やしているタイプの学校だったのでかなり居心地は良かったです。
結局、小中高通して全く異性とのときめきメモリアルはなく立派な喪女(死語??)として社会に解き放たれました。ただ会社や組織では性別や年齢関係なくコミュニケーションは必要になるので、社会に出てからの方が徐々に男性と話せるようにはなりました。結論としては、学生時代はモテないことや将来ばかりを悲観せず自分の長所を伸ばしていきましょう。
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