音楽配信サービス『Spotify』で振り返る2020年の音楽―King Gnu(キングヌー)

2021年1月7日  2020年12月31日 

先日、私が愛用している定額制音楽配信サービスのひとつ『Spotify』のアプリをスマホで開いたところこのような表示がありました。

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振り返ろう!!

Spotifyは昨年頃から無料で利用していたのですが、どうしても強制シャッフルがかかったり広告が入ったりするのに耐え切れなくなり今年に入ってからプレミアム会員(有料会員)のスタンダードプランに変えました。フリープラン(無料会員)の頃にはこのようなサービスはなかったので、どうやらサブスク登録するとこういった機能を付けてくれるようです。一時はTwitterのトレンドにも入っていたので「利用者が多いんだなー」と感じました。

早速これを開いたところこの1年で聴いていた曲やアーティストをまとめたストーリーを作成してくれたようで、普通に喜んで観てしまいました。これがAIの力なのか!!と思いながら観賞していると…。

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2020年を乗り切れたのもヌーのおかげ!!

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パイオニアと呼ばれて悪い気はせず

なんと「今年を乗り切れたのは」King Gnu(以下、キングヌー)の『白日』「のおかげかも」ということで、改めて本当にお世話になりました。確かに昨年の冬頃からヘビロテ気味に聴きだしたのですが、ウォークマンに入れていなかったのとスマホで聴けるのが楽だったのでもっぱらSpotifyが作成した「This is King Gnu」のプレイリストをリピートして聴いていました。

キングヌーの『白日』(2019.2)は昨年末の紅白歌合戦でも披露されたドラマの主題歌でした。ヒット当初は同時期にブレイクしたヒゲダンこと「Official髭男dism」とごっちゃになっていることも多く、誰しもが「キングヌーの方がよっぽどヒゲダンじゃないの??」とは感じたであろう誰よりも髭が似合う男くさい集団です。

超高難易度にも関わらず「歌ってみた」続出の真似したくなる曲
公開から1年で再生数が3億回を突破

これが『King Gnu』だ

メンバーは、井口理(Vo.Key.)、常田大希(Gt.Vo.)、新井和輝(Ba.)、勢喜遊(Drs.Sampler)の4人編成のロックバンド(敬称略&順不同)。2017年より同バンド名で活動を始め2020年12月現在でリリースされているアルバムは以下の3枚。1stと2ndは前身の『Srv.Vinci』(後述)での曲も収録。商業的にも大成功した「白日」などを含む曲は最新の3rdアルバムに収録されており、コロナ禍に負けず先日アルバムツアー「King Gnu Live Tour 2020“CEREMONY”」を成功させたばかりです。

King Gnu Live Tour 2020 AW “CEREMONY”
Tour Final(2020.12.6)より

健康志向の昨今に於いてイマドキの若いミュージシャンでは珍しくMVでもドキュメンタリー系の密着番組でも自身のSNSでも堂々と煙草を嗜んでいる姿を見せるのも特徴的。他のメンバーはまだしも??いちばん喉や肺活量などのコンディションが重要な井口さんも今現在はわかりませんが割とヘビースモーカー。

フロントマンの井口さんと、同じく歌唱と全ての楽曲の作詞作曲やプロデュースを手掛ける常田さんは長野県伊那市の中学校で同じ合唱部だった幼馴染であることは有名。学年は常田さんの方が1つ上なので先輩と後輩の間柄。その後、常田さんは東京藝術大学に入学し音楽学部の器楽科でチェロを専攻。井口さんも同じく東京藝大に入学し同じ音楽学部の声楽科に入学します。同郷の幼馴染ではありますが大学の学園祭で偶然再会したのがキングヌーのルーツであったとか。

常田さんは卒業することなく中途退学しますが、月曜深夜のラジオ「菅田将暉のオールナイトニッポン」に井口さんがゲスト出演した際には「第1回常田選手権」として何故か中退をネタにいじられネガティブに取られがちな情報すらも鬼才の成せる業にしてしまう何かとかっこいいひと。

以前から楽曲提供は行っていましたが最近ではファッションアイコンとしての活躍が多く、昨年UNIQLOで発売された「Engineered Garments」とのコラボのフリースコンビネーションジャケット(税抜3,990円)を『Teenager Forever』(2020.1)のMVなどで着用していたことも話題になりました。他にも「DIOR」「N.HOOLYWOOD」「MYKITA」「adidas」などハイブランド系からカジュアル系まで有名アパレルとのコラボを網羅。


某ファッション誌の表紙を飾った際には予約が殺到

アルバムにはインタールードとしてストリングスがいくつか収録されていますが、常田さん本人は大学で専攻していたチェロ、そしてバイオリンで参加しているのが演奏者であり起業家でもある実兄の常田俊太郎さん。天は二物を与えずという言葉をもろともしないとにかくすごい才能だらけの家族で畏怖の念すら感じます。

メインボーカルとキーボードを担当する井口さんは控えめであるような印象と反して奇怪な言動に注目が集中しがちですが、男性的な低音から女性のような高音域までカバーできる歌唱力の高さを世に知らしめた声楽科出身のロックバンドボーカリストという異色のすごいひと。MVでの表現からも感じられる通り繊細で自然体な雰囲気を出すのが得意で俳優としての才能も発揮。2020年公開の『劇場』や『佐々木、イン、マイマイン』などの映画にも出演実績がありますが不動産のブランドムービーには主役として出演。多くの特集番組でナレーションも担当するなど多彩に活動中です。

トニーレオン出演の映画『恋する惑星』をイメージとのこと

学生から父になるまでを7分で演じる

現在は終了していますが木曜深夜にはラジオ「King Gnu 井口理のオールナイトニッポン0」でメインパーソナリティも担当。深夜ラジオならではのくだけた態度に徹するも実は意外と悩んでいたというアーティスト気質な性格です。ラジオでは深夜3時過ぎにも関わらずaikoさんとは「カブトムシ」やポルノグラフィティの岡野昭仁さんとは「ミュージックアワー」「アゲハ蝶」を共に熱唱。超ベテラン有名アーティストすら圧倒する熱量とすぐさま対応できるコーラスの力量にド深夜にも関わらずリスナーを震撼かつ驚愕させました。

ド深夜のAMにあるまじき素晴らしいデュエット

ミクチャの映像を切り取ってTwitterに貼るのは違法
すみませんでした

贅沢なコラボ映像はこちら【公式】で観られます

リズム隊を務めるベーシストの新井さんは東京都福生市出身。福生には横田基地があるため独自の文化や商業施設(福生ベースサイドストリート)が形成されておりライブハウスなどでも他の地域とは一線を画す異文化的なミュージックが盛んな模様。プロのミュージシャンの方々に師事し、実地で本格的に音楽を学んでいます。ボーカルの井口さんとは過去にルームシェアしていた仲。前述のラジオの最終回には激励の手紙を送りパーソナリティを号泣させ放送事故寸前にさせてしまうという偉業を成し遂げました。

新型コロナの影響でアルバムツアーは延期になっていましたが先述の通り2020年12月6日の幕張メッセでの追加ファイナルまで無事公演。私はネットによる生配信で視聴しましたがせっかくだから…とスピーカーに繋いだところサブウーファーからの音圧の凄さにいろんな意味で酔いました。リアルに振動で床が揺れるので曲調が変わると慌てて修正。特に普段は環境の影響もあって凡人の耳では捕まえづらいベースの音はよくわかったので大興奮です。

映像も激しいので明滅注意

ドラムを担当するのは見た目がいちばんロックでやばいひとっぽいのにメンバー唯一の既婚者の勢喜遊さん。徳島県から19歳で単身上京しライブハウスを渡り歩いてドラムの腕を自ら磨いた叩き上げのすごいひとです。

フロントマン2名が東京藝大出身というインパクト強の情報にかき消されがちですが、バンドの要を握るリズム隊も家系からして筋金入りの音楽エリートだったりします。ロックバンドというと一般家庭に生まれたごく普通の音楽好きな少年少女が学生時代の仲間とバンドを結成して下北沢辺りの地下ライブハウスで対バンして事務所とレコード会社を決めてプロデューサーを迎えて…というようなよく想像されるイメージからは外れているような感はあります。

良い意味でも悪い意味でも酔える曲は『Flash!!!』(2018.7)と『千両役者』(2020.12)。通信会社の5Gのイメージコマーシャルとタイアップに起用されたこともあり疾走感が半端ないです。ライブでは間違いなく盛り上がります。

音が動くので酔いやすい

King Gnu の前身『Srv.Vinci』

キングヌー名義で活動する前は『Srv.Vinci』(サーバ・ヴィンチ)というバンド名で活動していたとのこと。タワレコのアーティスト詳細に経緯が掲載されているので気になる方は是非(https://tower.jp/artist/2631233/Srv-Vinci)。Spotifyでは配信がなく実店舗でも当時のCDを取り扱っている所はほとんどなくむしろプレミアが付いているようですが、Apple Musicにはありました。

Srv.Vinci時代のディスコグラフィは『Mad me more softly』(2015)と『トーキョー・カオティック』(2016)の2枚。『トーキョー・カオティック』の曲はキングヌーの1stアルバムで歌詞や曲調にアレンジが加えられ再収録されています。一部の曲は当時のレーベルである「PELIMETRON」の公式YouTubeチャンネルで視聴することもでき、今はミレニアムパレードの拠点でもあります。

これはアルバム内の曲を全てリミックスしたもの
テリーギリアム(モンティパイソン)のような動画も印象的

01. Devil’s MC
02. PPL
⇒『Slumberland』
03. Heroine
04. Those Sunny Smiles
05. Mommy’s Tummy
06. Zero Gravity Toilet
07. Diving To You
08. Abnormal Pressure
09. Plastic Rain
⇒『サマーレイン・ダイバー』
10. “I’m outta here”

上のように初期の曲から派生しているように聴こえるものもあります。一瞬だけ混ざっているように聴こえたりもするのでこうした共通項を探しながら鑑賞するのも楽しい。

私が特に好きなのが『ロウラヴ』(2015)で、この頃にはメインボーカルに井口さんを迎えております。MVの撮影場所はバンドの練習にも使用していた常田さんのお祖母さまのお家だという話。孫が演奏してるぞ!と窓を開け放して近隣に聴かせていたとかいないとか。

音楽集団『millennium parade』

先述の通りボーカルやプレイヤーとしてだけでなく音楽プロデューサーとしての側面が強い常田さんはキングヌーだけでなく『millennium parade』(通称ミレパ)という音楽集団の主宰でもあります。私が初めてミレニアムパレードの音楽を聴いたのはYouTube広告でした。当時ちょうど「DIOR」とコラボしていて印象的なMVと、どことなく懐かしさと退廃的な印象が残るアンビエントっぽい音響に「すごい音楽があるもんだなー」と思っていたら実は常田さんだったということに気付かされた時は驚きました。曲名は『lost and found』。キングヌーの活動とはまたちょっと違うので歌っているのは井口さんではありませんが、キングヌーのメンバーも随所で参加しています。

2020年最後のリリースとなった『Philip』(2020.10)は「Srv.Vinci」の時に制作した『Stem』のリメイクになっているがわかります。これに歌詞とラップで参加しているのが俳優やモデルの中野裕太さん。これも知った時は意外な人脈というか才能の帰結に驚きました。

ミレニアムパレードは音楽集団であり映像集団でありデザイン集団にプログラマー集団でもあるのでMVの制作やライブでの演出などはもちろんコンセプトアートなど総合的にクリエイティブなことができちゃう多種多様な才能の集合体みたいなイメージです。

私個人の受け取り方としては商業的な成功や認知度を目標として然るべきでしょうが各メンバーが「バンド」や「プロジェクト」というものに対して良い意味で固執せず割とドライな感覚で音楽を捉えている革新的な印象を持っています。それでもアーティストらしい頑固さも併せ持ちつつ伸ばせる所があればとにかく根を伸ばしてみるというような活動方針。

いわゆる「イキってる」感が強いのに実はかなりシャイだったり繊細だったりするひとたちの集まり。ひとを見かけで判断してはいけませんです。音楽そのものだけでなく「社会の中で表現すること」をストイックに考えている根っからの芸術家肌のひとたちなので、これから年齢を重ねていくごとの表現の変化に勝手に注目していたりします。

今いちばん好きな曲は『Prayer X』(2018.9)

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2021年も聴きます!!

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ほちょこと申します。
気になるを追究した雑記です。

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