正統続編TVアニメ『ひぐらしのなく頃に業』で思い返す「女子同士」の友情

2021年4月27日 

ネタバレあります

初代がリリースされた当時から衝撃的作品だった『ひぐらしのく頃に』シリーズ。私は原作ゲームの方は「鬼隠し編」のみスマホアプリ版で追っかけただけのもっぱらアニメ勢なので反省会やTIPSなど詳細なところまでは汲み取れていないのですが、TVアニメ版『ひぐらしのなく頃に』『ひぐらしのなく頃に解』そしてOVA版『ひぐらしのなく頃に礼』『ひぐらしのなく頃に煌』も何回も拝見させていただきました。同じくゲームからアニメ化された『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』や続編映画が発表された『魔法少女まどか☆マギカ』もそうなのですが、ループものは何度見ても飽きないというか結構忘れている展開もあるのでいちど観ておしまいではなく考察も含めて視聴リピート率が高め。ひぐらしの場合だと湿った夏の風が障子紙を揺らす和室でひとり観ていると最高にホラーです。

2020年にはなんと続編である『ひぐらしのなく頃に業』が始まり、TOKYO-MXで観ていた私は毎週木曜24時半が楽しみで仕方ありませんでした。先日放送がいったん終了して2021年7月からは解答編にあたる『ひぐらしのなく頃に卒』が放送されるとのことで、湿った真夏の時期にひぐらしをリアタイできるのは嬉しい限りです。

余談ですが『ひぐらしのなく頃に煌』の主題歌である『Happy! Lucky! Dochy!/梨花(田村ゆかり), 沙都子(かないみか), 羽入(堀江由衣)』がめちゃくちゃかわいい曲なので血みどろの惨劇に疲れた方にはおすすめです。沙都子の歌声に癒されていただけに「業」での崩壊は結構ショックでした。

あらすじ

昭和58年5月にとある事情で鹿骨市の雛見沢村という寒村に家族で引っ越してきた主人公の前原圭一は、転校先の雛見沢分校で充実した学校生活を送っていた。彼の親友は同い年の竜宮レナ、1年先輩の園崎魅音、年下で妹のような北条沙都子古手梨花。児童の人数が少ないため小中まではみなひとつのクラスで共に学び「部活」と称して遊んだりと平和で平凡な日常が続くはずだった。

ある日レナの趣味に付き合い村のゴミ捨て場にいたところ、富竹ジロウというフリーのカメラマンがやってきて圭一に「嫌な事件だったね」と過去に付近でバラバラ殺人事件があったことを示唆してしまう。不審に感じた圭一は再度レナとゴミ捨て場に赴いた際に、過去に雛見沢村では「ダム戦争」があり雛見沢ダム計画を巡って殺人事件が起こったという記事が載った古い週刊誌を目にしてしまう。圭一はレナや魅音に事件の真相について聞き出そうとするが「知らない」と一蹴されてしまう。

―昭和58年6月
数日後、部活メンバーに雛見沢村伝統の「綿流し」のお祭りに誘われた圭一は、再び富竹と鷹野三四という女性に出会う。その際ふとした会話の中で2人から「綿流しの日になると誰かが死ぬ」という雛見沢村連続怪死事件について詳細に知らされる。

翌日、圭一は興宮署の大石蔵人という刑事から富竹が昨晩に死亡、鷹野が行方不明になったことを聞かされる。古くからの村人はこれを「オヤシロさまの祟り」だと妄信してしまうとして都会から引っ越してきたばかりの圭一に情報提供を乞うようになる。

教室でレナと魅音が「鬼隠し」の話をしていたことを大石に伝えると「転校した」と伝えられていた沙都子の実兄である北条悟史がオヤシロさまの祟りとして鬼隠し(行方不明)に遭っていたことを知らされる。大石は、1年目のダム工事現場監督(園崎家と対立)、2年目のダム誘致派の夫婦(沙都子と悟史の両親)、3年目の神主夫婦(梨花の両親)、4年目の主婦(沙都子と悟史の義理の叔母)の連続怪死事件は全て部活メンバーの周囲で起こっているものだと知らせ圭一に用心するよう忠告する。

当日は学校を休んでいた圭一を心配した魅音とレナがおはぎを差し入れに来たが、その中には裁縫用の針が入れられていたことから圭一の「命を狙われている」という疑念は確信に変わる。

疑心暗鬼に囚われた圭一は、自分の身を守るために悟史が野球に使用していた金属バッドを常に持ち歩き部活にも参加しないようになるが、レナはその行動の変化が悟史が「転校」した時と全く同じだと伝える。

大石から事件の真相を吹き込まれたことで次第に秘密主義ともとれるレナや魅音に対して過剰に攻撃的になる圭一だが、レナから全ては「オヤシロさまが決めること」だと言い寄られその気迫から逃げ出してしまう。やがて山林で見覚えのない男性に殴られ気を失ってしまうが、目を覚ますとレナと魅音に介抱されていた。しかし唐突に注射器で何かを投与されそうになった圭一は悲鳴と共にレナと魅音を金属バッドで撲殺してしまう。

圭一は警察に向けてメモを残した後に逃亡するが、何者かがひたひたと後ろを付いて歩き「ごめんなさい」と謝罪を繰り返していたことに強い恐怖を感じ全ては「オヤシロさまの祟り」だとして錯乱。自分の首を掻きむしり失血死してしまう。彼は死の寸前までオヤシロさまの正体を見ることはできなかった。

―「鬼隠し編」より

* * *

古手梨花にとってこれは「繰り返される惨劇」のひとつに過ぎなかったが、前原圭一が雛見沢に現れたことは彼女にとって惨劇を回避するための「奇跡」を起こすきっかけになるという確信があった。惰性にも変わっていた梨花の100年にもわたる惨劇のループに、いよいよ決着の時がくる。

繰り返される惨劇とは

ひぐらしの物語は上述の繰り返される連続怪死事件が中心となります。初めは「オヤシロさまの祟り」というミスリードがありますが、物語の主要人物のひとりである古手梨花は「昭和58年6月」の惨劇、すなわち綿流しのお祭りの日に発生する富竹と鷹野の死と自分の死、ひいては雛見沢大災害という人為的災害を回避するために自身の先祖であり「オヤシロさま」の正体でもある羽入(見た目ははうあう系の萌えキャラ)の力を借りて幾度も時間を巻き戻します。この惨劇から逃れられない限り梨花は永遠に小学生の小さい女の子のまま。

時空の「カケラ」という概念で並行世界(パラレルワールド)は存在するようなので、突き詰めて考えてみると結構わけがわからなくなってきます。

小学生だけで生活できてえらい

梨花の両親は綿流しの日にオヤシロさまの祟りとして亡くなっています。実際は鷹野三四がカギを握っていて某組織に足切り要員として利用されていたということもありましたが彼女が全ての惨劇を引き起こす首謀者です。

沙都子は両親との不和によるストレスで雛見沢症候群を発症し両親を崖から突き落としてしまいます。沙都子には兄の悟史と父方の叔父がいましたが、兄夫婦と自身の妻が(雛見沢症候群を発症した悟史に)殺されたことでオヤシロさまの祟りを怖れ沙都子と悟史を置いて雛見沢を出ていってしまいます。悟史は叔母を殺害した後に「転校」して行方不明になっています。

そういった凄惨な経緯により、お互いに両親や身寄りがいない梨花と沙都子はまだ小学生でありながら古い一軒家に一緒に住んでいて全ての家事も分担して生活しています。ダム誘致派であった北条家の娘である沙都子は村人からあまりよく思われておらず肩身の狭い生活も強いられていましたが、梨花はそんな沙都子をいつも近くで見守り村の旧態依然とした価値観にも心を痛めていました。そのため2人は親友の粋を超えて家族のような存在であり、彼女たちは公私ともにいつも一緒でした。

梨花は誘い沙都子は引き留めた理由は

最新話のネタバレあります

全ての「奇跡」が揃ったことで昭和58年6月の惨劇を回避し無事に小学生から中学生に進学することができた梨花たちでしたが、梨花のとある「」が再び新たな「惨劇」を生むきっかけとなってしまいます。

中学生に進学早々、梨花は魅音の双子の妹である園崎詩音ですら逃げ出した「聖ルチーア学園」という全寮制のお嬢様学校の過去問題集を購入して早速受験勉強に取り掛かります。沙都子もレナも圭一も進学を考えるには早くないかと言いますが、梨花が望むならと受験勉強にも協力するようになります。沙都子も当初は梨花と一緒の学校に進学するために受験勉強に付き合っていながらも「勉強ごっこ」と思っていたのですが、日夜2人で頑張っているうちに沙都子も梨花と自身の合格を心から願い喜ぶようになります。

揃って入学を果たしてからの顛末はアニメの通り、神社の巫女であるというオヤシロパワーなのかお嬢様学校で何故か取り巻きができるほど人気者になった梨花と、品と学を重視する校風に馴染めず自主退学を促されるほどに落ちぶれてしまう沙都子といった具合に対極の構図になってしまいます。沙都子は梨花の「沙都子と一緒に叶えたい」とした夢を共に叶えようとした過去の自分を激しく後悔します。その後、雛見沢の仲間たちとひさしぶりに再会した沙都子は雛見沢の空気に触れ懐かしさと同時に時の流れがもたらす強い孤独感に苛まれていたところ、たまたま祭具殿に立ち寄った際に謎の魔女に漬け込まれ「自身の死」をもって「繰り返す者」としての能力を与えられるようになります。梨花(羽入)と異なる点は「記憶の欠損」がないことです。しかし「業」では羽生が梨花の死亡時に記憶の欠損が起こらないよう力を分け与えています。

しかし梨花もなぜ「沙都子と」「聖ルチーア学園」にこだわったのかは少々謎です。沙都子も梨花も勉強は好きではないと言っていますが、梨花の進学の夢はどの時間軸でも強固なものでした。沙都子が難色を示した際に「1人でも受験勉強を頑張る」と突き放した場面もあったので梨花自身は沙都子より少し自立していました。それでも拗ねた言い方でもあったので「それは卑怯」と沙都子を納得させることはできませんでした。沙都子も「梨花と離れ離れになりたくない」と梨花に執着することをやめられませんでした。

入学後も梨花はもちろん沙都子を心配しますが、負けず嫌いで意地っ張りな沙都子の心中が読めなかったのかあっさり手を引くようになり「私は手を差し伸べようとした」「その手を振り払ったのは沙都子」と痴話喧嘩になることが増え沙都子の手によって惨劇が繰り返されるきっかけにもなりました。女同士の嫉妬心やプライドが混ざった喧嘩は怖ろしいです。

これを機に沙都子の意志によって繰り返される時間軸で仲違いすることが増えた2人ですが、最終的に沙都子の策略??によって梨花は雛見沢に留まる選択をします。その後の時間軸は梨花が気持ち悪さを覚える程に平和な日常に急転したため、羽入の「祭具殿の立像に隠されている神剣・鬼狩柳桜(おにがりのりゅうおう)で繰り返す者を殺すことができる」という忠告から自分ではない誰かの手によって逃れられないはずの惨劇が変化していることに気付き沙都子にカマをかけます。梨花は沙都子が「繰り返す者」であることを悟り問い詰めようとしますが、業ではこのエピソード(猫騙し編)はここでいったん終わっています。

沙都子がループを繰り返すことで周囲の人物に「カケラの影響」による「記憶の累積」が生じたことが、梨花がループしていた時と異なる変化をもたらした結果「惨劇のルールが全て失われた世界」に改変されたことが後に語られます。そのため沙都子に暴力を振るっていた叔父の北条鉄平が改心したことを「面倒」と吐き捨て「せいぜい利用させてもらう」と解答編への伏線が残されたのは正直悲しかったです。

部活メンバーに加えて北条鉄平がサンリオとコラボ

どの世界線でもチンピラだった鉄平が改心した回(23話)の心理描写は爆発的にファンの心を打ちまさかの大人気キャラへとのし上がりました。私も深夜に泣きました。

どんなに親友でも進路が別れるのは当たり前

なぜ沙都子のことをよく知っているはずの梨花が偏差値の高い全寮制のお嬢様学校に誘ったのか、なぜ本人が自身とはかけ離れた校風に難色を示しているのに何度も食い下がったのか、その辺りは正直あまり理解できませんでした。梨花に夢を見る、叶える権利があるならそれは沙都子も同じこと。梨花は自分が100年の時間を経て今ここに辿り着いたのだという自負が強すぎて、いささか傲慢ではないかとも思いました。中学生にもなれば将来的に道が違うのは仕方のないことというのはお互いに容易に想像できるはずです。それは魅音が雛見沢分校を卒業して興宮の高校に進学してからレナや圭一たちもよく理解していました。

高校生の頃は特定のグループで一緒にいることはやはりあっても「何をするにも絶対にこのコと一緒」という感覚は少なくとも私はありませんでした。もちろん学生時代の友人で今でも連絡を取り合っている友達もいれば特に理由もなく疎遠になる友達もいます。仕事や結婚や出産などのライフステージの変化を機に1年に1回会えれば良い方なくらい友達もいます。逆を言えば近くに住んでいるので「いつでも会おうと思えば会える」という心理もちょっと働いています。「どこか行こうよ」とLINEに投下されても結局行かず終いで突然「妊娠しました」なんて報告もあったりしてみんな忙しいです。

沙都子は信じられますか?

それはさておき、梨花は雛見沢村で代々続いている「古手神社」の末裔でありオヤシロさまの生まれ変わりとして崇められる存在。実際には生まれ変わりというよりはオヤシロさまと呼ばれ続けている羽入の存在が認知できるというものですが、羽入の力により本来は不可逆であるはずの時間の概念も覆せるので神に近い存在です。となると、梨花もいつかは誰かと結婚して古手神社を継ぎ、跡取りを生むという人生の選択肢もあるでしょう。神社をどうするか云々は置いておいても梨花の人生は梨花のものですから、いつかは雛見沢に残るなり離れるなり何かしらの選択が生じるのは当然です。巫女という立場に捉われず圭一が住んでいたような都会に出て別の夢を抱くかもしれません。

沙都子は「裏切り者の梨花」という恨みが強くなりすぎて梨花への執着心が捻じ曲がり増幅してしまっていますが、将来的に梨花が結婚するとでも言おうものならどうするのだろうか…と真面目に考えたりもしました。

現代の友達同士の間でも周囲がどんどんキャリアアップしたり結婚したりこどもが生まれたりと似たようなことは普通にありますので、時代設定としては昭和終期の頃ですが当時も今も女性同士の友情を学生時代と全く変わらずに維持し続ける難しさのようなものは変わっていないと思います。ただ、「業」の物語はもはや梨花の強い意志と沙都子の意地による根競べになっているので、「これから先の将来はどうするの?」という現実的な問いはナンセンスな気もしています。

沙都子が梨花に対して屈折した愛情を向けるようになってしまったのは梨花と一緒にいたいからという理由だけではなさそうです。むしろそれは詭弁にも似ています。沙都子は100年の時を経て自分を欺いてきた梨花に対する不信感とともに進学先の高校では強い劣等感も植え付けられました。そして梨花と同じように死と引き換えに時間を戻せるようになった沙都子は2回目の進学の際に「沙都子をひとりにはしない」「親友のボクが必ず助ける」という梨花の言葉を信じて聖ルチーア学園を受験したものの結局また同じ結末になってしまったので、沙都子からすれば梨花の「裏切り」だという強い不信感を決定的にする結果となります。梨花は沙都子が裏切られたという感情に囚われているとは思っていません。

沙都子の行動原理の真実は

沙都子は時間を戻す力を貸し与えてくれる謎の神??である「エウア」(羽生と似ているが関係性は謎)に頼んで梨花の100年もの惨劇を等しく体験してもなお、繰り返す者でも「心の寿命は永遠ではない」という性質を逆手に取って自身がオヤシロさまとして「梨花の心を折る」とまで沙都子は宣言します。これに気を良くしたエウアは梨花が死亡してから沙都子が死亡すれば同じカケラ(世界線)に行くことが可能にする力も与えました。

エウアにそそのかされているところもあるので全て沙都子の純粋な意志によるものとは思いたくないのですが、「業」の最終回では完全に梨花に対する思いが屈折してしまい雛見沢症候群を意図的に最終段階のL5まで発症させることができる注射薬「H-173」にも手を出す始末。さすがのエウアも「良心の呵責はないのか」と訊いていましたが、沙都子の暴走は梨花への捻じ曲がった愛憎となって止まらないまま「業」の物語は幕を閉じました。

さすがに赤坂衛が発症した際には怒涛の急展開に視聴者もろとも絶望に陥れられましたが、これも「H-173」を手に入れた沙都子の仕業なのだとしたらやっぱり悲しすぎます。

最初は沙都子も梨花も親友同士の深い友情が全ての根幹だったはずなのに、沙都子がループを繰り返すうちに女同士の意地と意地のぶつかり合いによる泥仕合になってしまいました。小学生の梨花と沙都子を知っているとより切ないです。

もはや自分で書いていても何が言いたいのかよくわからなくなってきたので、解答編にあたる『ひぐらしのなく頃に卒』の放送開始を楽しみに待ちたいと思います!!こうしたああでもないこうでもないという個人的な考察を巡らすのも含めておもしろいのが『ひぐらしのなく頃に』シリーズですね

惨劇のはじまり(1話)
は無料で観られるみたいです

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