#ビジネス

【体験談】着ぐるみの中のひとは見ているよりも過酷な労働です

2020年11月30日 

もはや春から初夏にかけての緊急事態宣言などという頃より拡大し続けている感は否めない初冬のコロナ禍。いわゆる第1波、第2波の時の経済の傾きが今になって深刻な影響を及ぼしているのは毎日入ってくる暗く悲しいニュースからも明らかです。

特に東京都では夏の終わりに「GoTo キャンペーン」が本格的に始まってしまったため、11月の行楽日和に遠方に予定を組んだ方には第3派が直撃。無料キャンセルもできたりできなかったりと情報も錯綜していて、結局のところ勤労感謝の日を含めた三連休は「我慢の三連休」とはならなかったようです。

かく言う私も日用品の買い物などで都心部の繁華街の方には我慢ならず出掛けてしまいましたが、駅構内にはスーツケースを持ったひとが多く都内は割とひとが少なかったようにも思いました。それでも「ソーシャルディスタンス」は完全に崩れてきたなという感じで中心部ならではの人混みが戻りつつあります。電車内やターミナル駅もテレワークや時短勤務に時差出勤などがなくなった企業等が多いのか平日の17時~19時頃には安定の帰宅ラッシュ。金融関連に勤める友人はセキュリティや取り扱っている業務などの都合上により在宅勤務ができないので「在宅で仕事ができるひとは極力そっちでやって欲しい」と不安を吐露していました。

そんなこんなな状態なので影響がない業界や職種を列挙する方が難しいかもしれませんが、特に打撃を受けているもののひとつとして挙げられるのはやはり観光や娯楽産業。食料はないと生きられないが娯楽はなくても生きていける…というのはよく言われることですが、情報過多の現代において精神衛生を保ってくれる娯楽はある程度必要です。それでもお金がない時や感染症が流行している最中に絶対必要か??と言われると「いのちだいじに」にシフトするのは当然のことだろうと言われればその通り。

とはいえ小さい頃から遊園地や映画館に劇場など非日常的な空間が好きな私にとってはこういったニュースも他人事ではありません。何ヶ月も休園していた上に営業再開後もパレードやグリーティングなどの制限もあり、正直危惧していたところではありますがこうして報道されると生々しいですね。

テーマパークの醍醐味といえばアトラクション、ショーやパレードのエンターテインメント、お買い物にお食事にスイーツにスナック、雰囲気を感じながら散歩するだけといろいろありますが、やはりパレードやキャラクターのグリーティングに出くわすと「あー来たぜぇ!」という感じがします。

以前に某テレビの情報番組で「世界中にミ〇キーがいますが…」という意地悪な質問をしていて、O社かD社の広報担当が「世界でミ〇キーはひとりしかいません」と断言していましたが更に突っ込まれたところ「魔法で瞬間移動しています」と答えスタジオは苦笑いという誰も得しない謎インタビューもありました。かなり前の番組でしたが当時は「ミ〇キーの中にひとなどいない!」「ミ〇キーは世界でひとりだけ!」という暗黙の了解が絶対でした。

私も学生の頃に某テーマパークでアルバイトの経験がありますが、当時は社内的には景気が良かったのか待遇面等において極めて強い不満という程のものはありませんでした。むしろ初めて本格的に採用されたアルバイトの仕事だったので、「バイトってもっとぞんざいな扱いをされるイメージだったけれど結構いろいろやってくれるんだなぁ」と呆気にとられた感もありました。

配置に恵まれていたのか人間関係も居心地としては悪くなく、仕事に厳しいツンデレ系のこわいひとや個人的に取っ付きにくい感じのひとなどはもちろんいましたが年の近い先輩に可愛がってもらったおかげできょうだいのいない私は良い意味で年上との関わり方を教わった気がして今でも感謝しています。通常業務の中でも自分の得手不得手を学ぶ機会をもらえたり、お客さんや社内外のひと問わず誰かに感謝されたりした時は充実感もありました。働いていることを誇りに思える時もありましたし、すぐにでも辞めたいと思うことももちろんありました。仕事というのは複合的な要素が絡むことで自身に向いているかいないかが決定するということをよく理解した時期だと記憶しています。

ただきつかったのはやはり体力面で、接客も非接客もそれなりに体力を消耗しますが接客は多方面に気を遣いかつ主務も順当に片付けないといけないのでまだまだ要領の悪すぎる当時の私(今もなお)には厳しい仕事でもありました。

某テーマパークの場合にはいくつか社員用というかもはやアルバイト用の食堂があって昼休憩時や小休憩時にはそこで食べたり休んだりするのですが、例えばカレーライスをたいらげた先輩がその後すぐに体を動かす仕事に入らざるを得なかったので「カレーが出そう…」と笑っておりました。あとは業務中にぎっくり腰になってしまったり、私の周囲にはいませんでしたが夏場には熱中症で倒れる従業員が結構いたとか。今はわかりませんが、当時いわゆる「ワンオペ」になってしまう外での販売業のひとは商品やレジを放って持ち場を離れるわけにはいかないので極限まで我慢しがちのようです。

がしかし、コロナ禍においては人命と健康が最優先ということがやっと認知されてきたのでそんな神話も崩さざるを得なくなりました。労働者の義務や権利は社会問題として露呈、病気などにはかからないであろうはずの夢のキャラクターたちとの接触も不可。

某テーマパークとは別に若い頃(20代前半くらい)に某小売店の店舗の販売促進目的で某アニメキャラクターの着ぐるみ単発バイトをしたことがあります。地域のお祭りとかではなく完全に商用というか宣伝目的の着ぐるみだったので本来であれば体育大学に通っているような運動や体力のプロみたいなひとがやるらしいと当時は伝えられたのですが、人件費削減も兼ねて当時末端の事務員であった私が代わりに入ることに。身長や体格などがちょうど良かったらしく抜擢されました。ただし借り物なので汚したり壊したりしたらダメと言われ結構神経を使いました。しかも製作費がかなりかかっているので修理費もそれなりに高額とのこと。

O社の場合は守秘義務に加えて採用の審査基準が非常に高いと思うのでわかりませんが、一般的な「着ぐるみバイト」がどのようなものか思い出すと…。

印象に残っていること
→私が着用したタイプの場合

とにかく重い
男性が数人がかりで手伝ってくれないと着られない場合も。ヘッド部はうまく頭の中心に重心をかけないとよろける可能性もあるので注意。

割と視界は悪い
頼りはわずかなメッシュ部のみなので、前方にひとがいるということはわかるが鮮明ではない。前方はかろうじて、横や背後は気配すらわからないので無暗に動けない。

音が聞こえない
女性やこどもの歓声や悲鳴などは比較的よく聞こえますが、基本くぐもっているので明瞭には聞き取れない。スタッフの指示なども聞こえない時があるので、意図せず上司の命令を無視している状態になることも。

夏は地獄
言わずもがな。自身で用意したTシャツと短パンで挑むも上述の通りメッシュ部が少しあるくらいなので通気性ゼロ。熱中症などになりやすいひとや体力に自信がないひとは無理すると命取り。

有事の際の対応がわからないので怖い
何かの際に転倒したりお客さんにぶつかったりなどトラブルが起こった時が怖い。中には殴ってくるやんちゃな男の子もいるので、お互いに危険。もちろんサポートで隣に注意喚起してくれるひとは立っているものの上述の通り何が起こっているかも五感で察知しづらいので「恐怖」という感情すら生じる。

オーバーアクション必須
自分ではかなり動いていたつもりでも後から聞くとそんなでもない。むしろ棒立ちで少し手を振っているレベルにしか見えないらしいので思っている以上に可動域をいっぱいに使わないと見てくれているひとが満足できるパフォーマンスにならず体力消費の割に消化不良。

私が経験したような内部の空間が広めに取られている特殊な着ぐるみであれば中にスマホや外部のスタッフとの通信用の機器くらいなら持ち込めそうですが、体にフィットしているタイプではおそらく不可。労働法的な問題??で稼働時間は30分と決められていましたが、例えばO社のパレードなんぞは延々と踊っているので不安にもなりますがキャラクターは途中で入れ替わっていると思います。というより入れ替わっていて欲しい。若い時には良い経験になりましたが、今現在の年齢で考えれば命懸けです。

注)写真はイメージです

なかのひとなどいない!とは思いたいですが、私の経験上では全身を覆う被り物を着てあれだけのオーバーアクションが取れるのはかなり鍛え上げられている人材の方だと思います。特に身長が高くヘッド部分が大きいキャラクターはそれだけ首で支える力も必要なので超肉体労働でしょう。小さい頃は何とも思っていませんでしたが、さすがに大人になって単発1日だけとはいえ自分で実際に仕事の一環として経験してからは「すごいなぁ」と思って見てしまいます。と同時にD社クラスのきぐるみだと軽量化や機動性に長けているのだろうと制作における技術力も痛感します。

私なぞは人件費削減と普通に人材がいないということで「立っているだけでいい」レベルでの仕事でしたが、O社の公募(現在は停止中)によればジャズ・バレエ・ヒップホップなどのダンス経験はもちろん入社後もプログラムに合わせたリハーサルなどもあるので運動神経と体力は必須。キャラクターではないダンサーでも季節問わず特殊な衣装を着用しているので普通にパフォーマンスするより体力がいるでしょう。

それだけの凄いひとたちが今回のコロナ禍の影響で配置転換や退職を余儀なくされるのは非常にもったいないと思ってしまいました。あれだけのパフォーマンスができるようになるまでに入社前はもちろん入社後も相当練習されたと思うんですよね。ああいったお仕事は年齢や経済力も関与してくると思うのでなかなか難しい世界だとは思いますが、「なかのひと」(もちろんフェイスキャラクターやダンサーなどの方も)あってこそのテーマパークだと思うのでできれば有終の美といいますか…もう少し納得できる形でどうにかならないものかとはついつい考えてしまいます。

参考:
東京ディズニーリゾート®エンターテイナーオーディション(http://entertainer.olc.co.jp/)2020.11.30

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