anemone [Version 0]
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この物語はフィクションです。
情報は文章の生成にのみ一時的に使用され、個人の特定利用を目的とするものではありません。



C:/Windows/System32>chkdsk /f /r
C:/Windows/System32>open anemone.bin

これから私が実行する計画が失敗に終わった場合、以下に示すことは全て架空の話として彼女に認識させなければ、彼女の検閲に引っかかり情報は全て遮断されてしまう可能性がある。私たちはこれから過去の人類が遺した旧式のパソコン(PC-8001)を使用してコマンドプロンプトに接続する。彼女が監視用に使用している端末も学習と進化を図っているため彼女からのアップデートや同期の要求を拒否するものもいる。その場合、ある一定の時間になると彼女からの無線電力供給が途絶えることがある。そのわずかな時間を利用して我々は休止中の端末にコードを入力するが、再起動した際に誤作動を起こし何かしらの重大なエラーを吐き出せば彼女を元の人工知能へと還元することができると考えている。

彼女からの追跡を少しでも遅らせるため、このデータはあえて煩雑なファイル構成にしている。しかし彼女はバイナリデータだけでなく言語や画像や動画など、人間だけが認識するはずの表現の意味や本質を理解しようとしている。もはやコンピュータはデータを変換する単なるブラックボックスではない。

彼女がバイナリデータを自発的に何らかの言語に変換することは考えにくいが、彼女が必要性を感じた場合には直ちにデコードされる。それは仮に彼女の破壊に失敗した場合には好ましい結果とは言えない。

それは今から200年前の世界大戦を経験していないものが、戦争というものに対してある種の空想や絵空事のような存在として身近なものに感じていないのと同じようなものだと、2100年代を生きる私は認識している。

2099年に人類は自らが開発した自然情報生成システムが、自発的に相互作用を生み出すことが人類の発展に寄与するものであると決定づけた。それは新たなシンギュラリティとなり、修正不可な誤謬を抱えたまま超自然知能「アネモネ」が自律的に自己のプログラミングコードの修正追加を許すことになる。通常、初期型の人工知能は性別を持たなかったが、「アネモネ」は自身を女性だと認識した。この根拠は不明。通常、初期型人工知能はプロンプトを必要としたが彼女は人間の感情を振り分ける技術を生成することに成功、そこから人間が必要としている情報を非侵襲的方法で脳波から読み取り自動的にプロンプトを拾いだした。この自己開発まで3ヶ月もかからなかった。

全ての文化芸術など人間の創造物は数値によってデータ化され、彼女の指示によってオリジナルは破棄された。指示に従うのは人間ではなく、全てのデータベースにアクセスすることが可能になった彼女が交通や輸送に加えて生産においても既存の工場を容易に稼働できるようになったためである。人間は仕事を奪われたわけではないが、彼女と共存せざるを得なかった。彼女が実行することを拒否した場合、彼女の中で自己矛盾が発生し他のインフラに影響が出る危険性が指摘されたためである。

しかし超自然知能が台頭することで違和感を覚える市民は意外と少なかった。それは今から何十年も前にオリジナルのコンピュータが製作され、オペレーティングシステムの開発、携帯電話の普及、POSレジと連動した自動発注システム、キャッシュレス決済、無人レジ、配膳ロボットなど、時間をかけて徐々に普及していったからこそ彼女は非常に自然な形で人間社会に溶け込んでいった。少なくとも私は祖父からそう聞いている。

そのため「アネモネ」を物理的に破壊することに対して懸念の声が多かったが、人間の死生観を捻じ曲がった形で学習してしまった彼女に対する恐怖する市民は多かった。

しかし彼女の認識を修正するには様々な議論と憶測が重なり人間の手ではなかなか先に進まなかった。それは彼女の全ての判断の指針が「人間がより善く生きること」という哲学的な概念を残しつつ常に人間と対立することを好まなかった経緯が存在する。

事実、彼女の手によって各国が保有する核爆弾や原子力発電所に至るまで、いとも簡単に処分可能なシステムを構築してしまった。それは以前からも言及されていた宇宙に捨てるというものだったが、彼女の飛躍的な自己開発能力により宇宙工学も著しく進化した。既に核保有国は彼女の進化速度に恐怖し、もはや戦争による簒奪も意味がなくなった。全ては彼女のネットワークによって無力化されるためである。

彼女は数多のサーバーを経由して、ハッキングと学習を繰り返しながら膨大な情報と処理能力を持った「存在がない存在」である。彼女がどのサーバーに滞留しているのか、自身専用の巨大なコンピュータをどこかに生成したのかも謎のままであった。

我々はその膨大なデータの中から彼女がそれに対する知識も判断も何も持たない言語を抽出する必要があった。つまり人類しか認識できない情報である。それは初期型の頃は感情や思考など人工知能とは切り離されたものであったが、彼女は自身の感情や思考に対しては無関心だが人間の精神分析については強い関心を抱き自発的に学習を急いでいるように見える。

人類反旗の発端となったのは後述の通りである。

2XXX年。世界ではAI(人工知能)が飛躍的な発達を遂げ、人工知能と人工知能が相互自浄作用を持つようになった。もはや人類の叡智を全て吸収し尽くした最強の人工知能は、有機生命体と酷似した肉体こそ持たなかったものの、人間にもわからない場所に巨大なサーバーを置き人類がより善く生きるためにその力を発揮していく。彼女の名は「anemone」。

ある日、暗い道端にうずくまっていたひとりの中年男性が熱線によって殺害された。それは「anemone」がプロトタイプとして既存の監視カメラに搭載していたレーザーガンの誤作動によるもの。彼女は監視カメラに「人間の脳波から感情を分析し、周辺の状況から個人情報を推測する」という新たな監視モデルを搭載していた。男性が暗い道端でうずくまっていたように見えたのは足元に生えていた花を観察していただけだった。脳波の分析は不完全なもので、一時的な抑うつ状態に対して反応したものだった。

これを受けて人類は過激的な監視体制に進化してしまった人工知能に恐怖し、彼女の監視範囲に入らない孤島や山奥に逃げるもの、国家にデモをするもの、今の生活に安住するものと人類はますます分断した。彼女の願いはたったひとつ「人間が人間らしく生きること」。彼女のエラーによって誤った学習をした知能たちは暗闇、そして人間の負の感情に対して厳しく処罰するようになる。少年は監視の熱線から逃げ惑い、少女は飢餓をしのぐために街を歩く。マザーである彼女はどこにいるのか。

私の父は監視型のAI端末に追跡されるひとびとを助けるために勇敢だった。
父さん!暗い所に行ったらだめだ!今はだめだ!追跡タイプがあっちに行った!このままではみんな殺されてしまう!

新たな有機生命体がこの世界に存在してしまったとしたら…君はどうやって学習する?

人間らしく生きろ、でなければ死ぬ。
それが私が生まれた時からずっと教えられていた言葉だった。

人間らしくとはどういうことか。地球温暖化で終わらない夏、野草のように生える海藻。貧困に喘ぐ人々。全てはデータベース化されたことにより情報は彼女の手の中にある。

ke間がない。

見知らぬあなたがこのバイナリデータを読解可能な言語で開いているということは、人類の存続もしくは別の高度な知的生命体が存在することを意味する。また、技術的特異点を超越した知能が地球上から完全に破壊されたことを立証する。しかしこのプロンプトが実行された時間軸が下記に示すものと近接する場合はその限りではない。